国民の不利益 - 情けないNon-Reporting社会2009/06/13

この間、西松建設、日本郵政問題を追ってきて、なんで俺らの国には政治に関わる重大問題が生じたとき政府・行政側に総括として報告書を残すという、民主主義社会にあってきわめて基本的な習慣がないんだろうと感じた。いわゆる「説明責任」というやつだ。口頭で説明なんて、説明にならない。ある問題について責任の所在を明らかにし、こう動き、こう判断したという記録を政府・行政側は残すべきであり、報告書にまとめる責任があるのだ。こうした記録、報告を残さないことに対しては「国民の利益」に反する行為として犯罪とみなし、罰則を設けるべきではないのだろうか。

その意味では、方向は少し違うが、総務省が日本郵政に対して「かんぽの宿」について報告を求め、鳩山邦夫総務大臣名で出した次の報告は、見習ってもよいのではないだろうか。

日本郵政株式会社法第14条第2項に基づく監督上の命令等について
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02ryutsu13_000002.html
http://www.soumu.go.jp/main_content/000015456.pdf

日本郵政は、この総務省の命令に対してどのような対処をするのか報告書を出したんだろうか。俺が見落としているのかもしれないが、まるで出ていないんではないだろうか?

話は少しずれるが、「かんぽの宿」の売却問題以前に驚くべきことは、「国民共有の財産」であるにもかかわらず、西川善文氏を社長とする日本郵政は、この報告書にあるようにメチャクチャな企業統治体制にあったということだ。

・ 「重要な契約条項の実際の取り運び方について、相手方との間で口頭確認のみが行われたとされており、合意メモすらも残されていないため、合意内容が客観的に確認できない」
・ 「入札手続等の過程については、2次入札者の決定等、譲渡先選定に係る重要な意思決定が上司への口頭報告等で行われたため、役員共同での適正な意思決定が行われたかについて、事後的・客観的に確認できない」

政府・行政側としての総務省は、日本郵政が客観的な記録を残してないことの重大性をと~~ってもよく認識している。もし「国民共有の財産」を扱っているという自覚があれば、客観的な記録を残さないなんてことはとてもできるんもんじゃない。「国民の利益」にも、また自分たちが正しい行動をしているなら「自分たちの利益」にもならない。西川善文氏は、日本郵政社長としてこうした事柄について最終責任があり、こんな不/反企業統治が行われていたなら、すぐに客観的な記録を残すよう指示を出すべきであり、それを怠った、黙認したのだ。

こんなメチャクチャな日本郵政の「企業統治」体制だけとっても、その最終責任者である西川さんは解任に値するだろう。麻生首相が西川さんの続投を認めて、鳩山さんを辞任させたということは、「国民の利益」に反する西川さんの無責任行為を容認したことになる。

追記:ネットで検索した限りでだが、総務省の出した「日本郵政株式会社法第14条第2項に基づく監督上の命令等について」を扱ったマスコミの記事が見つからないのは驚きというか、呆れるいうか。ブログでは社民党の保坂展人さんが紹介していた。テレビを含めて、マスコミには何が重要なニュースかを判断する能力がないんじゃなかろうか。

保坂展人のどこどこ日記
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/6484145c0aafdf868ff53ab06d439c5c

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