新自由主義と現実 - クルーグマンを読む ― 2009/07/18
昨日、オバマ政権下での米国の新自由主義について書いたら、同じような観点からノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマンさんが現地17日付けニューヨークタイムズに意見を寄せていた。その見出しがスゴイ。ゴールドマン・サックスの記録的な好収益発表が米国、日本、そして世界にとって何を意味することになるのか。これは、今後を考える上できわめ重要なコラムになるのではないだろうか。取り急ぎ、最後の部分だけ紹介しておこう。
The Joy of Sachs
(歓喜のゴールドマン・サックス)
http://www.nytimes.com/2009/07/17/opinion/17krugman.html?_r=1
The bottom line is that Goldman’s blowout quarter is good news for Goldman and the people who work there. It’s good news for financial superstars in general, whose paychecks are rapidly climbing back to precrisis levels. But it’s bad news for almost everyone else.(ゴールドマンの四半期好業績は、ゴールドマンとそこで働く人々には良いニュース。金融機関最大手全般にも良いニュース。こうした金融機関の給料は危機前の水準に急速に戻りつつある。しかし、これは、ほぼ他の誰にも悪いニュースである。)
「他の誰にも悪いニュース」の「他の誰にも」とは誰のことか。一般米国民だけではない。日本も、世界の一般国民にとっても悪いニュースになるだろう。自分では生産的な活動をしない金融機関がこれといった規制も受けずに、米国政府、FRBの後押しを受けて再び世界に放たれることになるのだから。
追記:どなたか全体を日本語にしていただければと願うのだが。どなたもいなければ、時間との相談になるが、自分で挑戦してみるかもしれない。
The Joy of Sachs
(歓喜のゴールドマン・サックス)
http://www.nytimes.com/2009/07/17/opinion/17krugman.html?_r=1
The bottom line is that Goldman’s blowout quarter is good news for Goldman and the people who work there. It’s good news for financial superstars in general, whose paychecks are rapidly climbing back to precrisis levels. But it’s bad news for almost everyone else.(ゴールドマンの四半期好業績は、ゴールドマンとそこで働く人々には良いニュース。金融機関最大手全般にも良いニュース。こうした金融機関の給料は危機前の水準に急速に戻りつつある。しかし、これは、ほぼ他の誰にも悪いニュースである。)
「他の誰にも悪いニュース」の「他の誰にも」とは誰のことか。一般米国民だけではない。日本も、世界の一般国民にとっても悪いニュースになるだろう。自分では生産的な活動をしない金融機関がこれといった規制も受けずに、米国政府、FRBの後押しを受けて再び世界に放たれることになるのだから。
追記:どなたか全体を日本語にしていただければと願うのだが。どなたもいなければ、時間との相談になるが、自分で挑戦してみるかもしれない。
*米国は内戦に向かうのか? ― 2009/07/18
日本のマスコミ報道もあってか、米国史上最悪と言われたブッシュさんからオバマさんに大統領が変わって米国を見直す空気は強いようだ。しかし、報道されているのは、米国ばかりでなく世界を意識したリップサービスばかりで、実際にやっていることを見ると、ブッシュ政権時代と変わりはなく、ほとんどのことについて先送り、経済悪化が深化している分、さらに悪くなっている分野もある。中でも最悪は金融機関救済だろう。つい最近のゴールドマン・サックスの最高益更新報告に至るまでの流れは次のようになっている。忘れてならないのは、救済とかの決定にはすべてゴールドマンの卒業生が関わっていること。
1. 昨年9月、投資銀行から商業銀行(銀行持ち株会社化)に転換。事業面やFRBからの融資の面で資金供給を受けやすくなるため。
2. 昨年10月、緊急経済安定化法により公的資金注入(9,000億円)
3.2月、公的資金返済
4. AIGへの公的資金注入を通じてCDS保険金
「大量のAIG救済資金、欧米金融機関へ横流し」
http://kabu.sakiyomi.com/aifence/?EACH=160(横流し先に日本の金融機関が一行も含まれていないことはなかなか興味深い)
で、数日前の「ゴールドマン・サックス純利益34億ドル 4~6月期」発表となる。
この間、米国内の経済の方は、失業率は上昇一方、賃金は低下一方、不動産の差し押さえは増加一方、その他銀行の破綻は増加一方という状況になっている。つまり、ゴールドマンの好業績発表の向こうで、実体経済は悪化の一途を辿っているわけだ。米国産業の海外アウトソーシングは製造業だけではない、サービス業も海外にアウトソーシングされている。いったん海外にアウトソーシングされた仕事は、コストがそれと同じか、下回らない限り、米国内に戻ることはない。
クルーグマンさんも指摘しているが、問題はここから始まる。ゴールドマンは基本的に税金で増益を果たしたといっていい状況である。業績が好転した後、彼らは信用が失われていることを忘れて、再び世界に向けて最大の利益を求めるための行動に移ると考えられる。オバマさんはグリーン・ニューディールとかで産業再生を謳っているが、賃金格差とかで海外アウトソーシングをずっとやり続けている米国では、すでに米国製造業は死んでおり、自国で産業を再生するメリットはないだろう。やっても、カネがかかるだけだ。当然、カネをいじるだけが商売のゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーもそんなものに投資することはない。となると、米国ハゲタカ政府が支援する、これらのハゲタカ会社はどこで、何でさらなる金儲けを続けようと考えるだろうか。
日本にとっても、重大な局面を迎えていると思われる...(続く)
1. 昨年9月、投資銀行から商業銀行(銀行持ち株会社化)に転換。事業面やFRBからの融資の面で資金供給を受けやすくなるため。
2. 昨年10月、緊急経済安定化法により公的資金注入(9,000億円)
3.2月、公的資金返済
4. AIGへの公的資金注入を通じてCDS保険金
「大量のAIG救済資金、欧米金融機関へ横流し」
http://kabu.sakiyomi.com/aifence/?EACH=160(横流し先に日本の金融機関が一行も含まれていないことはなかなか興味深い)
で、数日前の「ゴールドマン・サックス純利益34億ドル 4~6月期」発表となる。
この間、米国内の経済の方は、失業率は上昇一方、賃金は低下一方、不動産の差し押さえは増加一方、その他銀行の破綻は増加一方という状況になっている。つまり、ゴールドマンの好業績発表の向こうで、実体経済は悪化の一途を辿っているわけだ。米国産業の海外アウトソーシングは製造業だけではない、サービス業も海外にアウトソーシングされている。いったん海外にアウトソーシングされた仕事は、コストがそれと同じか、下回らない限り、米国内に戻ることはない。
クルーグマンさんも指摘しているが、問題はここから始まる。ゴールドマンは基本的に税金で増益を果たしたといっていい状況である。業績が好転した後、彼らは信用が失われていることを忘れて、再び世界に向けて最大の利益を求めるための行動に移ると考えられる。オバマさんはグリーン・ニューディールとかで産業再生を謳っているが、賃金格差とかで海外アウトソーシングをずっとやり続けている米国では、すでに米国製造業は死んでおり、自国で産業を再生するメリットはないだろう。やっても、カネがかかるだけだ。当然、カネをいじるだけが商売のゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーもそんなものに投資することはない。となると、米国ハゲタカ政府が支援する、これらのハゲタカ会社はどこで、何でさらなる金儲けを続けようと考えるだろうか。
日本にとっても、重大な局面を迎えていると思われる...(続く)
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