*鳩山氏は当たり前のことを書いただけ(加筆修正)2009/09/01

ニューヨークタイムズに掲載された鳩山さんの「A New Path for Japan」がいろいろ言われているようだけど、世界的に見れば、内容はそれほど大したものじゃない。米国の市場原理主義はそこらじゅうで言われていることで、アメリカ様々の輩でない限り、だいたいが世界中どこでもそういう認識だ。証拠と言われれば、いくらでも出せる。例えば、CNNが報じた昨年末のG20金融サミットの様子を見るといい。参加国の人たちの誰もブッシュと握手しなかった。

George W. Bush Shamed At G20 Summit
http://www.youtube.com/watch?v=_bekEngveLY

鳩山さんの文章が画期的なのは、米国のポチよろしく何でもハイハイと聞いてきた日本の、次期首相と目される人物から出てきた文章という点にある。ブッシュさえも苦笑する前でプレスリーを真似た小泉や、マイクを前にマダム・スシと得意げにのたまわった小池百合子ババーの姿を思い出せばいい。そんなイメージしかない日本から、鳩山さんが書いたような文章が出てくると誰が想像するだろうか。ビックリするに決まっている。

しかし、あの文章は、日本と同じように米国という選択肢しか想定し得なかったアジアの国々の指導者にとっても衝撃的なことだろう。何だかんだ言って、日本はまだ経済大国という認識だ。その日本の次期指導者が、あんなことを書いたのだ。

あれに騒いでいる連中は、金のなる木がなくなることを心配している連中と思って間違いないだろう。イラクでもそうだった。国民ってのは、海外でやられていることをほとんど何も知らない。だから、予算をつけて、やりたい放題。いくらでも金儲けができる。イラクの会社に任せれば1万ドルでできることに、100万ドルの予算をつける。当然、受注するのは米国企業だ。その米国企業が、そのイラクの会社に下請けすれば、宣伝広告の工作費を使ってもボロ儲け。自公政権の下では、日本でこれとソックリのことがやられていたと思って間違いない。そのようにしてボロ儲けしていた連中が米国におり、そのおこぼれを頂戴していた連中が日本にいる。別に安保があったらこったらとか、そんな大層なことじゃない。金のなる木が無くなっちゃうよう、という類の話だ。

見えてきたNYタイムズの鳩山名義の文章掲載の流れ2009/09/02

俺も後から気付いたんだけど、ニューヨーク・タイムズに掲載された文章の基になった鳩山氏の文章は8月11日付けで鳩山さんのホームページに載っている(日本語原文の他に英訳、韓国語訳あり)。

2009年8月10日「私の政治哲学」
http://www.hatoyama.gr.jp/masscomm/090810.html

で、今回の騒動の中心人物と思われる岡本行夫さんは、その鳩山さんのホームページに掲載された当人の文章ではなく、8月26日付けのこのニューヨーク・タイムズの文章を口にしている。

A New Path for Japan - Published: August 26, 2009
http://www.nytimes.com/2009/08/27/opinion/27iht-edhatoyama.html?pagewanted=2

不思議なのは、岡本行夫さんは、英訳も出ているのに何で鳩山氏の元の文章を参照しないで、NYタイムズの方を参照するんだろうかってこと。で、NYタイムズは「By YUKIO HATOYAMA」としているから、誰もが当然、NYタイムズのOP-ED欄に鳩山さんが寄稿したんだと思う。しかし、鳩山さんは、「寄稿したわけではない」と言っている。

鳩山さんの言っていることは事実のようで、ニューヨーク・タイムズは「By YUKIO HATOYAMA」としているけど、その鳩山名の文章の最後には、他のOP-EDでは見かけたことがない、こんなのが付いている。

Global Viewpoint/Tribune Media Services

で、Tribune Media Servicesという会社を見てみると、何のことはない主に娯楽が中心のニュース配信会社。

Tribune Media Services
http://www.tribunemediaservices.com/

これ、誰かが鳩山さんの文章を抜粋して、その抜粋をTribune Media Servicesに売り込んだって構図だよね。で、その文章抜粋をクリスチャンサイエンスモニターとかNYタイムズがTribune Media Servicesから買って、何の確認もしないで鳩山さんの文章としてそのまま掲載。誰がTribune Media Servicesに売り込んだんでしょうか。鳩山さん、この誰かと米国のニュース配信会社、新聞社を訴えるべきじゃないのかなあ。明らかに著作権法違反だよね。おまけに意図的な抜粋とかの改竄の疑いもあるわけで。

そういえば、中心になって騒いでいる岡本行夫なる人物、イラクで奥さんや井上さんが殺された後、調査の陣頭指揮をとると思いきや、イラク訪問をキャンセルして日本に帰って来ちゃった人だよね。で、こんな本を書いている。

「砂漠の戦争―イラクを駆け抜けた友、奥克彦へ」(文春文庫)

何か笑っちゃう人のような。

滑稽な展開になりそうな「鳩山」名義の文章掲載問題2009/09/03

ニューヨークタイムズをはじめとして、さまざまなところに鳩山名義で転載されている文章に関して、どこか滑稽な、しかし重大な問題が浮上してくるかもしれない。鳩山さんは「寄稿したわけではない」と発言しているのに、なぜそれらの米国マスコミはあたかも鳩山氏の寄稿文であるかのように記事を掲載しているのだろうか。見出しは違うが、NYタイムズと同じく鳩山名義の文章抜粋を掲載したクリスチャンサイエンスモニターは具体的な形で何が問題かを教えてくれる。サイエンスモニターの最後の段落は次のようになっている。

Yukio Hatoyama heads the Democratic Party of Japan. This is an abridged version of an article entitled "My Political Philosophy" in the September issue of the monthly Japanese journal "Voice." (c) Voice/Global Viewpoint Network. Distributed by Tribune Media Services.((c)は通常の文字コードではなく正しく表示されないので、俺の方で変更)
出典:Japan must shake off US-style globalization(日本は米国式グローバリゼーションを排除しなければならない)
http://www.csmonitor.com/2009/0819/p09s07-coop.html

注目すべきは、最後の「(c) Voice/Global Viewpoint Network. Distributed by Tribune Media Services」で、著作権保有マークが付いている。「All rights reserved」となっていないから、このTribune Media Servicesというニュース配信会社は、名前が適切かどうか分からないが「配信権」なるものを入手したのだろう。だから、転載される鳩山名義の抜粋文章の最後には、必ず、この種の著作権表記が付くことになる。

疑問なのは、この配信会社は、一体全体、誰から「配信権」を入手したのか、ということだ(マスコミによって見出しが違うから、その「誰か」から「改竄の許可」も受けているかもしれない)。普通に考えれば、この「誰か」はこの配信会社と商売をしたことになる。しかし、鳩山氏は「寄稿したわけではない」と言っている。もし鳩山氏が事実を言っているなら、Tribune Media Services社は、日本の次期首相と目される鳩山由紀夫名義の文章抜粋をどっかの誰かから提供され、その鳩山氏に確認もしないで、一部著作権の譲渡を受け、鳩山名義での文章掲載を許可していることになる。これって、考えようによっては、日本に対する侮辱じゃないかなあ。日本人の文章ごときに、米国の著作権法は適用されない、ってか?

滑稽な展開になりそうな「鳩山」名義の文章掲載問題 22009/09/04

Ponさんという方がコメントで、今回のNYタイムズなどの「鳩山」氏名義の文章掲載問題の成り行きを示唆するであろう興味深い記事を紹介してくれた。そのまま全文を掲載する。

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鳩山論文、米通信社が省略して無許可転載か

 民主党の鳩山代表の論文が、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)に掲載され、米欧に「反米的」との評を広げた問題で、鳩山事務所と論文を配信した米通信社の間に、掲載の経緯を巡る見解の相違があることが3日、明らかになった。

 日本の月刊誌「Voice」9月号に掲載された論文は、「私の政治哲学 祖父・一郎に学んだ『友愛』という戦いの旗印」の題で、事務所が業者に発注し英語と韓国語に翻訳、鳩山代表のホームページに掲載した。

 世界の要人インタビューなどを配信する米国の通信社「グローバル・ビューポイント」は、これを大幅に省略し、「新しい日本は米主導の市場原理主義を拒絶、東アジアの統合を模索」との見出しで配信。タイムズ紙はこれをさらに削って掲載した。

 「グローバル」のネイサン・ガーデルス編集長は「Voiceを通じて鳩山事務所の許可を取った。短縮したが、文章はそのままだ」と話している。

 これに対し「Voice」編集部は、英訳版の掲載依頼は米紙ロサンゼルス・タイムズ社からのみあり、鳩山事務所が要約版掲載を了承したが、他メディアに転載されるとの認識はなかったという。鳩山事務所は論文が、海外で配信されたこと自体知らなかったという。

 鳩山代表は8月31日、ニューヨーク・タイムズ紙掲載の論文について「一部だけとらえられた」と不快感を示したが、既に多数のメディアが同紙の引用を「新政権の外交政策」として紹介、「反米」イメージが独り歩きする懸念もある。(国際部 細川紀子)
(2009年9月3日21時03分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090903-OYT1T00973.htm
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なんともスッキリしない曖昧な記事だが、何となく、鳩山さんの「寄稿したわけではない」という発言を知った時点でこの展開はある程度予想できた。なぜなら、著作権違反問題に事態は発展していくはずで、そうなると誰が「グローバル・ビューポイント」とやらにあの文章を提供したのかという問題になる。それも、鳩山さんが寄稿したわけでもないのに、なぜNYタイムズやクリスチャンサイエンスモニターは「By YUKIO HATOYAMA」として、寄稿文であるかのようにして掲載したのか。おまけに、読売の記事によれば、「英訳版の掲載依頼は米紙ロサンゼルス・タイムズ社からのみあり、鳩山事務所が要約版掲載を了承した」にもかかわらず、「グローバル・ビューポイント」自体、そのサイトで、どちらの新聞社とも違う見出しを使って「By YUKIO HATOYAMA」として鳩山さん名義で文章を未だに掲載している。

The New Japan Will Reject American-Led Market Fundamentalism and Seek East Asian Integration(新しい日本は、米国主導の市場原理主義を拒否し、東アジア統合を求める)
http://www.digitalnpq.org/articles/global/385/08-20-2009/yukio_hatoyama

ロサンゼルスタイムズと「グローバル・ビューポイント」は同じ会社なんだろうか。そんなことはないだろう。とはいえ、「グローバル・ビューポイント」の会社紹介には、興味深い内容が記されている。この会社は「読売新聞」と提携関係にある。どうりで「犯人捜し」で問題が大きくなる前に手を打とうとしている、と見えないだろうか。鳩山さんは「犯人捜し」をすべきだと思う。それが、日本から「癌」を取り除く一歩になるのではないだろうか。どの記事にも「グローバル・ビューポイント」の著作権保有が明記されている以上、記事掲載にあたっての契約書があるのではないか。「グローバル・ビューポイント」と契約したのは誰なのか。

Often referred to as "the CNN of the print media" Global Viewpoint appears before 35 million readers in 15 languages through the pages of newspapers ranging from the International Herald Tribune to Corriere della Sera to El Pais to Asharq Al Awsat, from O Estado de Sao Paulo to Die Welt to Yomiuri Shimbun, Japan's largest daily.

Global Viewpoint
http://www.digitalnpq.org/articles/global

「グローバル・ビューポイント」の主要取引先であり、一応、米国ではリベラル紙と評価されているロサンゼルスタイムと日本の親米保守の読売新聞がこのようにして「グローバル・ビューポイント」でつながるのは、なかなか興味深い。

メモ 米国金融資本の現況とオバマの正体?2009/09/04

■ これは、世界に向けた米国金融資本妥協または屈服の合図か?

G20、金融機関に報酬規制 基本合意めざす
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090902AT2C0101801092009.html
金融規制、国際協調が重要 米財務長官、G20会議で表明へ
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090903AT2M0300I03092009.html

いずれにしても、昨年末のG20金融サミットでのブッシュに対する総スカンの状況とは様変わり。

George W. Bush Shamed At G20 Summit
http://www.youtube.com/watch?v=_bekEngveLY

しかし、最後のFRBの砦は守る。米国銀行の生死は、ゴールドマン・サックスの卒業生がほぼ仕切る財務省とFRBで決められている。

■ オバマの正体?

今年の夏中には医療法案を通過させると言っていたオバマ。しかし、そうはならなかった。もし通ったとしても、「Public Option」が付かなければ、医療保険加入の義務化だけが残り、医療保険会社は大儲けの機会を得る。