米国バブルを振り返る(個人消費と借金) ― 2009/10/06
少し古い記事だが、2008年1月23日付けのBusiness Weekに、米国経済のどのぐらいがバブルだったのかを解明しようとする記事が掲載されている。
How Real Was the Prosperity?
We're just beginning to figure out how much of the nation's recent growth was the result of a credit-induced frenzy. Here are some guideposts (米国の最近の成長のどのぐらいが借金で生まれた狂乱の結果だったのか?解明は始まったばかり)
http://www.businessweek.com/magazine/content/08_05/b4069000016691.htm
あらゆる分野でバブルだったのだが、ここでは記事の中の個人あるいは消費者のバブルに絞って紹介しよう。
「(個人消費に関して)賢明な人の鉄則は単純。収入を超える消費をしない。長い間、米国経済はこの鉄則を守ってきた。1960年代まで、インフレ調整後の個人消費は基本的に、GDPを基準とする経済全体の成長の後を追ってきた。経済の先をいくこともあれば、遅れることもあるが、それは数年の間で、決して長期にわたって続くことはなかった。
このパターンが変わったのは1990年代以降のことだ。2007年第三四半期現在、この10年の消費の伸びが3.6%であるのに対し、同期間のGDP成長率は2.9%。このギャップは巨大である。過去そうであったように、過去10年の消費者支出が経済の後を追っていた場合、米国の消費額は年額で6000億円少なくなる。2001年以降の過剰消費は総額約2.7兆円(3兆ドル)に達する。」(引用)
この後、消費者向け融資額の伸びについても触れているのだが、1997年以降、過去10年の4.2%から7.5%へと急激に伸びたようだ。そして、その差から生まれた総額は同じく約2.7兆円(3兆ドル)。つまり、米国民の過剰消費はほぼ借金によって賄われたことを意味する。
当然、米国民はこの自分たちの借金を返さなければならない。借金を返せるほど収入が増えればいいが、現在起きていることは、住宅価格の低下や失業者増など、その逆であり、この先何年もの間、賃金が下がることはあっても、賃金が上がる可能性は限りなくゼロだろう。にもかかわらず、銀行救済などによって国の借金はますます巨額になっている。つまり、国民個々人でさえ自分たちの借金を返せるかどうか分からない状況で、米国政府は借金を積み上げていることになる。
「米国の消費停滞が世界経済を弱体化するのかどうかは、分からない。米国民が輸入される液晶テレビやスターバックスコーヒーを買う量を減らす可能性が高いかどうかも不明である。もう一つの疑問は、米国での消費不振がどの程度海外への事業投資に影響するかだ。中国やその他の地域では、米国の需要に応えるために工場が誕生しつつある。しかし、もしその需要が落ちたら、どうなるのだろうか?」(引用)
現在世界で起きていることは、まさに需要が落ちて生産過剰になった状態である。現在の米国民の状況を考えれば、少なくともここ何年かにわたり米国の需要が回復することはありえない。
How Real Was the Prosperity?
We're just beginning to figure out how much of the nation's recent growth was the result of a credit-induced frenzy. Here are some guideposts (米国の最近の成長のどのぐらいが借金で生まれた狂乱の結果だったのか?解明は始まったばかり)
http://www.businessweek.com/magazine/content/08_05/b4069000016691.htm
あらゆる分野でバブルだったのだが、ここでは記事の中の個人あるいは消費者のバブルに絞って紹介しよう。
「(個人消費に関して)賢明な人の鉄則は単純。収入を超える消費をしない。長い間、米国経済はこの鉄則を守ってきた。1960年代まで、インフレ調整後の個人消費は基本的に、GDPを基準とする経済全体の成長の後を追ってきた。経済の先をいくこともあれば、遅れることもあるが、それは数年の間で、決して長期にわたって続くことはなかった。
このパターンが変わったのは1990年代以降のことだ。2007年第三四半期現在、この10年の消費の伸びが3.6%であるのに対し、同期間のGDP成長率は2.9%。このギャップは巨大である。過去そうであったように、過去10年の消費者支出が経済の後を追っていた場合、米国の消費額は年額で6000億円少なくなる。2001年以降の過剰消費は総額約2.7兆円(3兆ドル)に達する。」(引用)
この後、消費者向け融資額の伸びについても触れているのだが、1997年以降、過去10年の4.2%から7.5%へと急激に伸びたようだ。そして、その差から生まれた総額は同じく約2.7兆円(3兆ドル)。つまり、米国民の過剰消費はほぼ借金によって賄われたことを意味する。
当然、米国民はこの自分たちの借金を返さなければならない。借金を返せるほど収入が増えればいいが、現在起きていることは、住宅価格の低下や失業者増など、その逆であり、この先何年もの間、賃金が下がることはあっても、賃金が上がる可能性は限りなくゼロだろう。にもかかわらず、銀行救済などによって国の借金はますます巨額になっている。つまり、国民個々人でさえ自分たちの借金を返せるかどうか分からない状況で、米国政府は借金を積み上げていることになる。
「米国の消費停滞が世界経済を弱体化するのかどうかは、分からない。米国民が輸入される液晶テレビやスターバックスコーヒーを買う量を減らす可能性が高いかどうかも不明である。もう一つの疑問は、米国での消費不振がどの程度海外への事業投資に影響するかだ。中国やその他の地域では、米国の需要に応えるために工場が誕生しつつある。しかし、もしその需要が落ちたら、どうなるのだろうか?」(引用)
現在世界で起きていることは、まさに需要が落ちて生産過剰になった状態である。現在の米国民の状況を考えれば、少なくともここ何年かにわたり米国の需要が回復することはありえない。
原油取引、ドル建てから通貨バスケット制へ!? ― 2009/10/06
ドルの価値低下を踏まえて何年も前から出ていた話だけど、本格化するのだろうか。どういうわけか、日本も絡んでいる。次の一手に向けて駆け引きが活発化しているようだ。この記事の元になっているインディペンダントの記事を書いたのが、中東関係の主に政治的なことで有名なロバート・フィスク記者というのもなかなか興味深い。
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アラブ諸国、原油取引での通貨バスケット建て移行を協議=英紙
2009年 10月 6日 11:55 JST
[シドニー 6日 ロイター] 英インディペンデント紙(電子版)は6日、アラブ湾岸諸国が原油取引での米ドル利用を中止し、通貨バスケット建て取引移行に向け、ロシア・中国・日本・フランスなどと極秘に協議していると報じた。
ロバート・フィスク中東特派員によるこの記事を受け、ドル相場は軟化した。
同紙がアラブ諸国の関係筋および香港にいる中国の銀行関係者の情報として伝えたところによると、通貨バスケットは、円・人民元・ユーロ・金のほか、サウジアラビア、アブダビ、クウェート、カタールなど湾岸協力会議(GCC)関係国が計画している統一通貨などで構成される。
記事は「ロシア、中国、日本、ブラジルの財務相と中央銀行総裁らがすでにスキームについて極秘の協議を行っており、原油取引は今後、ドル建てにならないことを意味する」と指摘。また、この協議にはフランスも関与しているとされる。
同紙によると、米当局はこの協議が行われたことを認識しているが詳細を把握しておらず、「この国際的な陰謀には対処する」姿勢を示しているという。
ドル建ての原油取引を止めるとの観測はここ数年、度々浮上しているが、専門家の間では直ちにそうなる可能性は低いとの見方が有力だ。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-11811020091006
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まだ読んでいないが、インディペンダント紙のロバート・フィスクさんの元記事はこちら。
The demise of the dollar(ドルの死)
http://www.independent.co.uk/news/business/news/the-demise-of-the-dollar-1798175.html
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アラブ諸国、原油取引での通貨バスケット建て移行を協議=英紙
2009年 10月 6日 11:55 JST
[シドニー 6日 ロイター] 英インディペンデント紙(電子版)は6日、アラブ湾岸諸国が原油取引での米ドル利用を中止し、通貨バスケット建て取引移行に向け、ロシア・中国・日本・フランスなどと極秘に協議していると報じた。
ロバート・フィスク中東特派員によるこの記事を受け、ドル相場は軟化した。
同紙がアラブ諸国の関係筋および香港にいる中国の銀行関係者の情報として伝えたところによると、通貨バスケットは、円・人民元・ユーロ・金のほか、サウジアラビア、アブダビ、クウェート、カタールなど湾岸協力会議(GCC)関係国が計画している統一通貨などで構成される。
記事は「ロシア、中国、日本、ブラジルの財務相と中央銀行総裁らがすでにスキームについて極秘の協議を行っており、原油取引は今後、ドル建てにならないことを意味する」と指摘。また、この協議にはフランスも関与しているとされる。
同紙によると、米当局はこの協議が行われたことを認識しているが詳細を把握しておらず、「この国際的な陰謀には対処する」姿勢を示しているという。
ドル建ての原油取引を止めるとの観測はここ数年、度々浮上しているが、専門家の間では直ちにそうなる可能性は低いとの見方が有力だ。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-11811020091006
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まだ読んでいないが、インディペンダント紙のロバート・フィスクさんの元記事はこちら。
The demise of the dollar(ドルの死)
http://www.independent.co.uk/news/business/news/the-demise-of-the-dollar-1798175.html
原油取引、ドル建てから通貨バスケット制へ!?(続報) ― 2009/10/06
前の記事で紹介したロバート・フィスクさんの記事に対して解説を試みているサイトがあった。ドルはもうダメというのはすでに自明の理で、問題は「何時か?」ということ。とはいえ、中東以外の国の名前が出てきた現実的な動きとなると、なかなか衝撃的。現在の日本政府の動きを念頭に置きながら考えると、何か出てくるかもしれない。また、このニュースがイギリスから出てきたことも興味深い。
[2009年10月06日] 日本・中国・中東・EU・ロシア、秘密会合を開催!米ドル抜きの原油決済構想をぶち上げる!(1)&(2)
http://kabu.sakiyomi.com/aifence/?EACH=431
http://kabu.sakiyomi.com/aifence/?EACH=432
[2009年10月06日] 日本・中国・中東・EU・ロシア、秘密会合を開催!米ドル抜きの原油決済構想をぶち上げる!(1)&(2)
http://kabu.sakiyomi.com/aifence/?EACH=431
http://kabu.sakiyomi.com/aifence/?EACH=432
同じく動きが急な米国内 ― 2009/10/06
国防長官のゲーツさんが、数日前にCNN報道とはまるで違う見解を出しているようだ。この通りだとすると、アフガニスタンの司令官マクリスタルさんは見放されたということだろうか。
Gates to Army: We'll follow Obama's orders on Afghanistan
(アフガンに関して我々はオバマ大統領の命令に従う)
http://www.mcclatchydc.com/227/story/76586.html
数日前のゲーツさんの発言を取り上げたCNNの記事。
Defense Secretary Robert Gates is leaning toward the view that a significant number of additional combat forces will be needed for the war in Afghanistan, sources told CNN Thursday.
CNN: Adding troops in Afghanistan gains support, sources say
http://edition.cnn.com/2009/WORLD/asiapcf/10/01/afghanistan.strategy/
中国日報に出た「米軍はアフガンでの軍事活動を止めるべき」と考えると、これまたスゴイ展開。
世界を見る - 「米軍はアフガンでの軍事活動を止めるべき」
http://ootw-corner.asablo.jp/blog/2009/10/03/4613243
Gates to Army: We'll follow Obama's orders on Afghanistan
(アフガンに関して我々はオバマ大統領の命令に従う)
http://www.mcclatchydc.com/227/story/76586.html
数日前のゲーツさんの発言を取り上げたCNNの記事。
Defense Secretary Robert Gates is leaning toward the view that a significant number of additional combat forces will be needed for the war in Afghanistan, sources told CNN Thursday.
CNN: Adding troops in Afghanistan gains support, sources say
http://edition.cnn.com/2009/WORLD/asiapcf/10/01/afghanistan.strategy/
中国日報に出た「米軍はアフガンでの軍事活動を止めるべき」と考えると、これまたスゴイ展開。
世界を見る - 「米軍はアフガンでの軍事活動を止めるべき」
http://ootw-corner.asablo.jp/blog/2009/10/03/4613243
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