今、亀井金融庁が熱い! - 「記者クラブvsジャーナリスト」2009/10/15

今、金融庁の記者会見ページが熱い!マスコミでほとんど報じられないので、ご存じない方もいらっしゃるかもしれないが、亀井金融担当相が「記者クラブ」向けと「雑誌・フリー等の記者」向けの2つの記者会見を開いている。これは必読である。亀井金融担当相の考え方がわかるばかりでなく、記者クラブとジャーナリストの問題意識の違い、能力の違いがハッキリと分かる。例えば金融庁の「記者会見」ページの、10月9日に行われた2つの会見内容を読み比べて欲しい。

記者クラブ向け - 亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
http://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2009b/20091009-1.html
ジャーナリスト向け - 亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(雑誌・フリー等の記者)
http://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2009b/20091009-2.html

ジャーナリスト向けの会見で指摘されているように、記者クラブ向けの会見発表内容ではどの媒体の誰が質問をしたのかまるで分からない。記者クラブのマスコミ記者というのは、自分また自分の属する会社がどれだけの問題意識を持って質問しているのか、国民に知ってもらいたい、宣伝したいと思わないのだろうか。報道機関であるなら、他社と競争する上で欠かせないだろう。それとも、金融庁の発表をそのまま載せるだけだから、そんな必要もないのだろうか。だったら、時間を割いて記者会見なんか開かないで、金融庁から出された資料をそのまま載せればいいではないか。

とはいえ、記者クラブのマスコミ記者がなぜ名前を伏せたいか、上記の記者クラブ向け「会見の概要」ページを読むとよ~~~く分かる。ほとんど問題意識がなく、質問が小学生レベルなのだ。ぜひ通して読んでいただきたいが、例えば、どこの会社の記者か分からない次の質問など、一体全体忙しい時間を割いて亀井さんに聞くようなことだろうか(「答:」が亀井さんの発言)。

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問: 臨時国会の会期、確認なのですけれども、12月7日までということでしたか。冒頭のご発言の確認なのですけれども。
答:いや、だから、これは党と相談しなければいけないことでしょう。これは、政府の要望みたいなものだから。
問:政府の考え方としては、26日から12月7日という。
答:官房長官は7日などとは言わなかった。「12月初めごろまでが良いのではないかなと思っています」と言って、党とそういうことで協議したいと言っておられるから。
問:では、明示的な日数、何日までというようなことはなかったわけですか。
答:それは、だって党と相談して決めることでしょう。大まかに、そういうことで党と協議したいということですから、「それで良いのではないですか」という話だから。
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2つの記者会見の内容は、ミスター第二分類さんという方が阿修羅の政治版でも全文を紹介されている。そして、ジャーナリスト向け記者会見の亀井さんの回答に対して、俺自身も非常に問題点が多いと考えていたBIS規制について非常に有用な注を付けてくれている。これは、知り合いの社長さんと最近まさに話し合った問題点でもある。この部分を読むだけでも記者クラブ向け会見との内容、レベルの違いがよく分かる。

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問: 日刊ゲンダイの小塚といいます。
 今の話の延長線上で考えると、結局、グローバルにはいわゆるBIS規制があって、今度、新 BIS基準というのも検討されていて、より銀行に対する不良債権の評価が厳しくなるという方向に流れているのですけれども、日本がそういう返済猶予というのをやるとすると、この間、(仙北)信用組合の前理事長もおっしゃっていましたけれども、そのBIS規制を日本の国としてどう考えていくのかということにつながると思うのですけれども、どうですか。
答: これは、世界の中で、全部ではありませんが、世界の中にある冷たい国と日本は違うのです。
 日本は温かい国なのです。だから、みんなで幸せになっていくことを、みんなで協力してやっていく国なのです。
 だから、そうした債務を繰り延べしたからといって不良債権の分野に入れていくとか、その4%が3%に下がったからといって、というようなことはさせません。
 今度、金融(検査)マニュアルを変えますから。これは同時にやるのでしょう、出すのでしょう。
(※ 転載者注:BIS規制はいわば、国家間の紳士協定のようなもので、国内金融機関への適用はその国の実情に合わせてローカライズする事が認められている。また、金融検査マニュアルの内容が事実上、金融機関の不良債権と不良債権予備軍の定義を決めている。亀井氏はよく問題の所在を理解している。)
副大臣: 法律の後に、マニュアルの改定につながると思います。
答: だから、マニュアルも変えますから、だから、少々それが下がったって、別に何ということはないですね。
問: そうすると、ちょっとずれるわけですか、基準が。海外とのその辺の整合性というのはどうなのでしょうか。
答: いや、外国で資金調達しているような、そういうところが8%です。そういうところと、やはり地方の、外国で資金調達をしていないようなところに、同じような BIS規制のチェックをやる必要はないのです。分けて考えればよい話ですから。我々はそういう行政をやっていますから、アメリカの基準に日本の田舎の信用金庫まで合わせるようなことは全然必要ない。
(※転載者注:質問した記者の方が問題内容を勘違いしている。)

ソース:ゲバラ亀井はかく語りき--【亀井大臣記者会見の概要(雑誌・フリー等の記者)】---(金融庁)
(「転載者注」がミスター第二分類さんの加えた注)
http://www.asyura2.com/09/senkyo73/msg/358.html
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今、亀井金融庁が熱い! - ジャーナリスト側からの意見2009/10/15

亀井金融庁の記者会見(亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(雑誌・フリー等の記者)の方)に参加した上杉隆さんが2つの記者会見について、どうしてそうなったのかダイアモンドに記事を書いている。

亀井大臣に同じ会見を2度行わせる、記者クラブの呆れた抵抗
http://diamond.jp/series/uesugi/10097/

しかし、マスコミはいつまでこんな記者クラブ制などと言う馬鹿げたことを続けるのだろうか。少なくとも一国民としての俺が知りたいことは、亀井さんが金融相として何をやろうとしているのか、どのような考え・根拠に基づいているのか、そのやろうとしていることが国民生活にどのような影響を与えると予想されるのか、といったことだ。そうした見方からすれば、記者クラブ向けとジャーナリスト向けの2つの記者会見の質問内容は月とスッポンであり、記者クラブの会見内容はお話にならない。一国民の俺にはどうでもいいことなのだ。

一体全体、マスコミのよく口にする「報道の自由」とか「国民の知る権利」は何なんだろうか。官公庁は元々国民に知ってもらわないと困ることが山ほどある。それをいくらマスコミが文字や映像にしたところで、「報道の自由」とか「国民の知る権利」とはまるで関係がない。マスコミは、官公庁が国民に知ってもらわなければ困ることを、色つきで流しているだけであり、本来官公庁が国民に直接知ってもらえばいいことなのだ。それを間に入って流すだけで、「国民の知る権利」とか言って特権を受け、コマーシャル料をとれるのだから、イージーな商売である。記者クラブの記者(?)がナーンモ考えなくなる理由が何となく理解できるような。