米国における壮大なる実験2009/11/20

オバマ政権を牛耳るゴールドマン・サックスの卒業生が何をやっているかご存じの方は多いだろう。とにかく輪転機を回して、市場をペーパーマネーで溢れさせる。しかし、そのペーパーマネーが実体経済に向かっているわけではない。もっぱら金融、というよりは投機に回される。だから、実体経済の方は落ちる一方、失業者も増える一方だが、投機対象の金などのコモディティー(また水面下では実物)、株式などは威勢のいい状態となる。これだけ見れば、確かに経済(?)回復だぁ。

このカネを金融にジャブジャブ投入すれば経済が回復するというオバマ政権のやり方は壮大なる実験と言っていいだろう。ただし、大笑いの結果になる可能性が高いと思うが。実体経済がさっぱりな状況は、住宅市場だがAIFEENCEという有料記事でも取り上げられている。

「しかも、差し押さえ物件の大半を占めているのが、なんと優良顧客層であるプライム層向けローン物件なのである。サブプライムローンと比べて、プライム層向けのローン市場規模は非常に大きい。そのプライム層に本格的に火がついたと言うことは、遠からぬ将来において、ウォール街に不良債権の津波が押し寄せることを意味する。」
プライム住宅ローン、過去最悪の状況に!
不良債権増大、止まらず!墓穴を掘る
http://kabu.sakiyomi.com/aifence/?EACH=475

この記事を読まれるにあたって理解して欲しいところは、米国では住宅ローンは日本と違ってノンリコース型が多いということだろうか。対象物件を手放せば、ローン債務者の債務はなくなる。だから例えば日本円で1億円の物件のローンを組んだとしよう。この間の住宅価格の下落で現在の価値が7,000万しかないなら、そしてまだまだ価格が下がると予想するなら、わざわざローンの支払いを続ける必要はない。さっさと手放せばいいのだ。投資のために2軒目として買った人も多いから、そんな人は手放して大正解。

つまり、記事にあるように、ローンの払い手がいなくなるわけだから、金融機関の不良債権はさらに増大し、FRBはさらにせっせと輪転機を回す。ぜひとも米国には、輪転機を回して金融機関にカネを送り込めば経済全体が回復という実験に成功して欲しいものだ。経済問題なんて世界から消え、日本の与党に朗報だろう。日銀にカネを刷ってもらいさえすればいいのだ。