一米国民が見た米大統領の「降服」 32009/12/08

アフガニスタン増派に関する、ウェスト・ポイント士官学校における12月1日のオバマ演説は、オバマの軍部への屈服の象徴性という点で特筆すべき事柄だった。しかし、オバマの屈服は、選挙公約とは裏腹のこれまでの現実にもずっと現れていた。トム・エンゲルハルトさんも、そのことを前に紹介したコラムの中でハッキリと指摘している。

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実際、これらのはっきしない(オバマなどが口にしている)撤退期限を信頼する根拠は何もない。詰まるところ、ガンタナモ刑務所を1年後に閉鎖すると明確に発表したのに、その発表は今や公式に流れたし、CIAおよび軍に関する公文書から数百万ページに上る歴史文書を2009年末に公開するという明確な太陽政策も公式に延期され、恐らくは数年後になるだろう。そして、イラクからの米軍戦闘部隊の撤退、それに続く米軍の完全撤退も、今やずれ込む可能性がある。

アフガニスタンの決着をつける?大統領が頭を下げた現場司令官の計画、これまでアフガン戦争を拡大してきた政権、また考えられる将来に米国がアフガニスタンを離れることはないというパキスタンに対する内密の再確認に基づけば、この戦争こそが仕事のすべてであり、終わりはなさそうである。どのような美辞麗句があろうと、これこそが火曜夜のオバマ降服演説の核心だった。

Tomgram: Meet the Commanded-in-Chief
http://tomdispatch.com/post/175172/tomgram%3A__meet_the_commanded-in-chief/
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オバマが選挙中に話していたことは、単に選挙に勝つための方便だったのだろうか?それとも、本当にそうしたいと思っているのだが、回りを囲む人間に動かされて出来なくなっているのだろうか。オバマの核兵器廃棄演説同様、アフガン演説の後にも、オバマの演説を否定する(あるいは否定に近い)閣僚などの発言が相次いで登場する。しかし、目を通している限り、オバマが彼らと対立している報道は出てこないようだ。

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・ 米中央軍のペトレアス司令官はFOXテレビのニュース番組に出演し、「新戦略は、出口に突進する動きを始動させるものではない」と訴えた。
・ ゲーツ国防長官はCBSテレビとのインタビューで、「(撤退の)期限などない。特定の時期から、地域ごと、州ごとに治安権限の移譲を進めていこうとの計画があるだけだ」と語った。

国防幹部が相次ぎテレビ出演、アフガン新戦略を説明
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200912070012.html
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