滑稽な結果になったCOP152009/12/20

予想されたとはいえ、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)とやらは、滑稽な結果になった。何を言いたいんだか分からないが、「合意に留意する」とのことである。

政治合意に「留意」 COP15全体会合、正式採択は見送り
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20091219AT3S1902F19122009.html

「先進国」と「途上国」という言い方は問題をぼかしてはいるが、対立の構図をよく表している。あからさまに言えば産業革命以降のイギリスを筆頭にした「植民地国」(一部は旧)と、その植民化の波をもろにかぶったインドや中国、中南米諸国などの旧「被植民地国」との対立である。被植民地国がCOP15にもっと協力するには、欧米がそれらの国の生産物をもっと買ってくれる状況でなければならない。そうすれば、渋々ながらにしてもある程度の協力は得られただろう(温暖化が科学的に事実かどうかは別にして)。

しかし、現実はご承知のとおり。被植民地国の生産物を大量に購入する余裕は欧米にはない。だから、オバマや日本のように協力してくれれば、資金援助をするからという話になる。

オバマ大統領COP15へ出発 9兆円の途上国援助の用意
http://www.aab-tv.co.jp/news/annnews_191218014.html

被植民地国で、自国の自立を考えている指導者なら、こんなふざけた話にはのらないだろう。先ずは自国の産業の育成、自立が最重要であり、植民地国の監視下におかれれば、制約が多すぎてまともな産業の育成ができると思えないからだ。

俺が抱いている構図通りだとすれば、植民地国(つまり欧米)の優位性の維持という点で、米国主導のハードな手段がアフガンなどで現在も進行し、拡大する一方で、欧米によるソフトな手段はこれで失敗し、終わりを迎えることになる。

かっての被植民地国代表、中国が裏で動いたと思われる今年3月に起きた次のオークション事件はなかなか暗示的だったかもしれない。ひょっとして植民地時代に強奪したものをみんな返せと被植民地国が植民地国に要求する時代が来るかも。

清朝ブロンズ像の落札、「背後に中国政府」 故サンローラン氏パートナー
http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2577832/3875811

滑稽な結果になったCOP15(補足)2009/12/20

日本にとってはもちろんCOP15が成功してくれた方が良かったろう。日本の省エネ環境技術は優れていると言われている。原子力もあるし。だから、鳩山さんが国連演説でCO2削減をぶち上げたのも理解できるし、オバマと同じく資金援助を言っているのも理解できる。

しかし、途上国にとって何が一番重要かを考えれば、いくら資金援助をされても受け入れられることではないだろう。一番重要な自国産業の育成に足かせをはめられ、結局、欧米支配の継続を認めることになるのだから。

現在の枠組みで被植民地国が納得しないことがハッキリした以上、欧米のCO2利権に縛られず、日本は被植民地国と協力する独自の道を探っても良いのではないだろうか。

地球温暖化 - 欺瞞と思わざるを得ない理由2009/12/20

日本ではやたらCO2による地球温暖化が宣伝されている。実際のところ、CO2による地球温暖化が事実なのかどうかは、意見が分かれている。日本でもまるで反対の意見の人もいる。例えば中部大学の武田邦彦教授のように。

作戦失敗・・・幻の温暖化騒動
http://takedanet.com/2009/12/post_1f6b.html

同じコペンハーゲンについて語ってもドイツ、シュピーゲル誌はまた違った意見になる。今にもとんでない時がくるようで、「どれほど破滅的な気候になるか明らかになるのに、それほど時間はかからないだろう」という脅しに近い表現になる。

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コペンハーゲンの気候サミットは失敗した。グリーンハウスガス削減について具体的な目標はない。先進国は開発途上国に具体的な提案を提供するまでに至らなかった。インドや中国などの新興工業国は、気候に対するチェック&バランスなしに経済拡大を続けることができる。

Gunning Full Throttle into the Greenhouse
(グリーンハウスに全速力で突っ込む)
http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,668111,00.html#ref=rss
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EUがこれほどやっているのに、資金援助額も少ないしアメリカは何で?なんて文句も言っているんだけど、それだったら、常識的な線として、アフガニスタンで大食いの戦闘機や軍用車を動かすなってことになっちゃうんだよね。スウェーデンでは、CO2削減のために、これやってるあれやってるってのが報道が出るけど、こんなのより最もCO2を排出するものを動かすなってことじゃないのかなあ。

で、そことんところをヤッパリというか何というか、欧米ではアホと評判のイランのアハマディネジャド大統領がちゃんと指摘しちゃってるんだよね。ごく一部を紹介すれば、「アンタら、オタクらがアフガニスタンに費やしたカネでアフガニスタンが先進国になったかあ?」

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3) The so-called industrialized countries should fulfill their international commitments. At the same time, clear and feasible mechanisms should be drawn up which bring the disobedient governments and economic sectors under control and obligates them to pay fines to the countries which have experienced a loss. It has been said that more than 250 billion dollars has been spent on the expedition to Afghanistan and around 1,000 billion dollars has been the cost of the war in Iraq. Wouldn't 50 billion dollars spent on Afghanistan's infrastructure and economic development have turned this country into a developed country? And wouldn't 200 billion dollars on developing new technology and suitable use of fossil fuel have returned the pollution level to the period before industrialization?

WTF? Ahmadinejad making Sense on Climate Change;
Defends Nuclear Program as Alternative to Carbon Poisoning
http://www.juancole.com/2009/12/wtf-ahmadinejad-making-sense-on-climate.html
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で、ここでイランの意見として興味深いのは、先進国はこれまでのCO2排出量に対して、その量に応じた金額を基金として拠出し、途上国がCO2を抑制する産業の育成ができるようにすべきということかな。つまり、欧米や日本の言うような資金援助ではなく、CO2排出が問題だというなら、これまでCO2を排出してきた責任分だけ、お前らがカネを出して基金をつくり、正当な管理の下でその基金を途上国が使えるようにするのが当たり前ってことかなあ。