米国の世界販売戦略2010/01/09

こんな風に書くと、当然、世界販売戦略ってどんな商品の販売戦略だあ、ってな疑問が出てくるだろう。もちろん、米国が一番得意なこと。表向き予算は連邦予算の約20%、よくよく内容を眺めていると連邦予算の5割を超える軍需防衛治安産業関連商品である。何でそうなるのと疑問に思われる方は、連邦政府が発表する予算とこちらで紹介されている予算の内訳を比較してみるといいだろう。まあ、軍需産業を支えるためには、兵器ばかりでなく、そのための兵站とか軍人の医療費とか、とんでもない金額がかかるということだろう。

Total Outlays (Federal Funds): $2,650 billion
MILITARY: 54% and $1,449 billion
NON-MILITARY: 46% and $1,210 billion
http://www.warresisters.org/pages/piechart.htm

俺の興味は、米国連邦予算がこのように構成されていて、米国の産業、米国民の仕事はそちらの方向に向いている以上、米国がその方向をどうやって維持するかにあった。住宅バブル崩壊で資金還流作戦が失敗した今、この軍需治安産業が壊れてしまっては、それこそ根本から国家の存続に関わる。この意味では、米航空機爆破テロ未遂事件を受けてオバマ大統領が、この7日に行った「情報機関および航空安全の強化」に関する演説はなかなか興味深い。Googleででもご覧になると分かるように、欧米日主要メディアは、どれも、これも米国、世界の治安という観点から記事にしているが、この見方がプロパガンダの類で、適切でないことは言うまでもない。オバマさんの演説は、米国の世界販売戦略、国外資金の再還流化戦略の一環という観点から捉えるべきなのだ。連邦政府が存続する上で、米国には軍需、金融以外にこれといった産業が存在しないのだから。

Remarks by the President on Strengthening Intelligence and Aviation Security
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/remarks-president-strengthening-intelligence-and-aviation-security

その意味では、最近登場した「AQAP」という略語は興味深いかもしれない。オバマさんはフルに「Al Qaeda in the Arabian Peninsula」という言い方をしている。最近登場した用語であるにもかかわらず、Googleなどで検索すると、ヒット数は膨大である。これに、「分派」とかを意味する「affiliate」とか「offshoot」が組み合わされている。

アルカイダ市場をもっと世界的に拡大しなければならない。そのためには、どうすればいいか?米国セールスマンのオバマ大統領の苦悩はまだまだ続くことだろう。

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_ 金貸しは、国家を相手に金を貸す - 2010/01/09 13:52

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