歪められ続ける日本国民のナショナリズム2010/03/20

大手マスコミの報道、またそこで報道される国民の反応とやらは実に滑稽だ。鯨、クロマグロ、それが食文化というナショナリズムに結び付けられる。常識的に考えたらいい。どこの漁業関係者でも、このまま捕獲を続けたら特定の漁業資源が絶滅してしまうと考えれば、その特定資源を保護する方法を考え、漁獲量を制限するなど、実際にそうしている。鯨にしても、クロマグロにしても同じことだ。

ただ、問題は事実としてそうなのかどうか、である。絶滅するとなれば、国民も食文化とやらではなく、保護するのが当たり前と考えるだろう。しかし、どういうわけか食文化という前に、もっと重要なことである事実の報道がない。事実報道の前にシーシェパードとかのアホ行動が大々的に報道される。シーシェパードには、ぜひとも辺野古にいるジュゴンの保護活動に参加して欲しいものだ。

俺は「ナショナリズム」を2つの意味で使っている。どういうわけか、日本では一方の意味がスッポリ捨てられている。Encartaで「nationalism」を引いてみよう。次の3つの意味を挙げている。

1. desire for political independence: the desire to achieve political independence, especially by a country under foreign control or by a people with a separate identity and culture but no state of their own
2. patriotism: proud loyalty and devotion to a nation
3. excessive devotion to nation: excessive or fanatical devotion to a nation and its interests, often associated with a belief that one country is superior to all others
http://encarta.msn.com/dictionary_1861632464/nationalism.html

日本では、定義の最初にある「政治的独立の希求」がスッポリ抜けているのだ。もっぱら、大戦中に植民地主義で共食いしあった欧米日各国の偏狭なナショナリズム、偏狭な国への忠誠心・愛国心、民族優越主義の意味で使われている。

確かに戦前日本は偏狭なナショナリズムの固まりであったかもしれない。しかし、現在はまるで違う。米軍が大規模に駐留するという、独立国とは言えない状態にあるのだ。にもかかわらず、ナショナリズムの最大の意味である「政治的独立の希求」がスッポリ抜け落ち、鯨やクロマグロなどという、恐らく一般の国民にはほとんど関係ないことに「ナショナリズム」が結び付けられる。また、もっぱら反朝鮮・反中国の親米右翼のアホ活動が「ナショナリズム」に結び付けられる。

戦中に戦争を賛美し、優越ナショナリズムを煽りながら、敗戦になると手のひらを返してアメリカ万歳、民主主義万歳と礼賛して、ナショナリズムを矮小化し、歪めてきた大手マスコミ。大手マスコミが戦中から戦後へとほとんど改革もなしに引き継がれたことを認識すべきだ。事実として、米国公文書で明らかにされているように、読売社主の正力松太郎は岸信介と同じく戦犯でありながら釈放され、「PODAM」というコード名を持つCIAのスパイだった。

官僚・マスコミをはじめとして、政権交代後に執拗に現政権の攻撃を繰り返す抵抗勢力がどのような連中なのか。一般の日本国民からすれば、まさに、やたら無駄死にを増やした戦争の責任を負うべき連中を中心にした組織そのものではないだろうか。