ポール・ティベットは英雄である!2009/08/19

米国陸軍や海兵隊のサイトを訪れて、どんな奴が勲章をもらっているのか見ていると、なかなか面白い。例えば海兵隊なら、こんな風に。敵を殺して勲章というのももちろんあるが、敵を殺してなおかつ仲間を助けたことになったとなるとなると、その価値はもっと上がる。

http://www.marines.mil/searchcenter/Pages/Results.aspx?k=medal%20award%20Iraq&s=All%20Sites

とはいえ、米国軍人の最大最高のの英雄はポール・ティベット氏だろう。何と1発の爆弾で、戦争終結に貢献した。つまり、1発の爆弾で10万人を超える民間人を一度に殺して、最高までとはいかなかったようだが、数々の勲章を手にした。

日本が米国との戦争に勝っていたらどうだろうか?想像するだけで面白い。戦後、人でなしと呼ばれていたような人も勲章を受け取っていただろう。実際問題として、戦時中は勲章を貰ったり、英雄のように報道されたりし、戦後になったら人でなしのように言われた人はいくらでもいるのではないだろうか。今や政治的象徴、悪の権化の靖国神社などは、お国のために勇ましく戦い亡くなった英雄たちを祭る最高の場所となっていただろう。米国のアーリントン、その他多くの国にあるであろう墓地のように。

詰まる話が、いろいろ理屈はついても、国のために国民に命をかけさせ、殺人をさせるということは、それを命じている本人たちが戦場に赴かない分、きわめて崇高な行為としなければいけないことだ。戦争に負けたからといって、ただ信じて、あるいは騙されて命を亡くされた方々の行き場も考えずに靖国あったらこったらいったところで何にもならないと思える。靖国がどうなろうと、国のために命をかけさせ、殺人をさせるという非日常がどうにかならない限り、靖国に代わるものはいくらでもあるのではないだろうか。むしろ、国家に国民が有無を言わさず命をかけさせられ、殺人をさせられた人たちを祭る場所として、俺には靖国はとても貴重な場所に思える。少なくとも俺は、靖国を訪れると何と悲しい場所かと認識できる。米国をはじめとして、そうした墓地は単純明快、未だに英雄として葬られ、国民はほとんど疑問を持たないのだ。

オバマが売り込む被害妄想2009/08/19

いつも誰かに狙われている、そのうち隙を見て誰かが攻撃してくるに違いないと思っている連中は、過去にやましいことをしたか、現在もそうしたやましいことをしているのではないか。そんな考えを持っている連中は、常に他者に対して攻撃的であり、関わる者すべてを殲滅しなくては安心できないという志向を持つ、と日本人の多くは考えるのではないだろうか。一種の病気、被害妄想である。

オバマ大統領が、そんな被害妄想的な心性を米国民に売り込んでいる。オバマ自身が被害妄想かどうか定かではないが、米国民の間でこの被害妄想が当たり前の状態となっていることは確かなようだ。イラクでブッシュが言ったように、アフガンでも、同じフレーズが何度も何度も繰り返されて、米国民に被害妄想が刷り込まれ、絶大な力を持っていく。

「我々は忘れてはならない。アフガン戦争は選択できる戦争ではない。必然的な戦争だ。911に米国を攻撃した連中は再びそうしようと企んでいる。タリバン反乱勢力を野放しにしておくことは、アルカイーダがさらに多くの米国民を殺す企てをする安全な隠れ場のさらなる拡大を意味する。」(We must never forget,” he said. “This is not a war of choice. This is a war of necessity. Those who attacked America on 9/11 are plotting to do so again. If left unchecked, the Taliban insurgency will mean an even larger safe haven from which Al Qaeda would plot to kill more Americans. )
Obama Defends Strategy in Afghanistan
(オバマ、アフガン戦略を擁護)
http://www.nytimes.com/2009/08/18/us/politics/18vets.html?_r=2&th=&emc=th&pagewanted=print

元々被害妄想傾向の国民が大多数を占めるから、何らかの途方もないきっかけがない限り、この被害妄想から彼らが解放されることはないだろう。この被害妄想の下では、お得意の効率から見た視点もいっさい忘れられ、地球の裏側にいる、恐らくは多くても数千、数万程度の狂信者を殲滅(どうやって?)するために、毎日毎日赤字を垂れ流す一方で、億を超える巨額な無駄が費やされる。

米国民にある、こうした被害妄想と、超単純な人類観、つまり、人間は誰も同じ、同じことを望んでいるという見方、善悪二元論を前提にすると、米国のやっていることがよく理解できる。イラクでも、アフガンでも、その土地に暮らす人々が「ノー!」と言っているにもかかわらず、それは彼らがまだ民主化されていないからとか、遅れているからとかと考え、自分たちの被害妄想と超単純な人類観が間違っているとはこれっぽっちも思わない。どっかの主義者、宗教カルトそっくり。

*激しくなる女性への米軍入隊勧誘2009/08/18

米軍の兵士不足は深刻化しているようだ。イラクから、ずっとこの調子なのだが、最近は女性を標的にした宣伝が増えていると思える。このmilitary.comの記事はその典型といっていいだろう。

Female Marines Winning Afghan Hearts
(アフガンの人たちの心をつかむ女性海兵隊員)
http://www.military.com/news/article/August-2009/female-marines-winning-afghan-hearts.html?ESRC=topstories.RSS

兵士、直接的戦力というより、問題はアチラの方かもしれない。イラクにしてもアフガンにしても、イスラム教徒には一般の女性をパンパンにする慣習はない。米軍としては女性を釣れば、男性兵士も増えるかもしれない。アフガンで、若い女性兵士が若い男性兵士とともに半年以上も外部社会と隔絶された米軍基地内にいるということは、何を意味するか。兵士になった女性は、こうした記事や晋平訓練で言われていたことはまるで違う世界にぶち当たるに違いない。

「年次改革要望書」ではないが、そのうち防衛省には、「女性自衛官を増やして、アフガンに送れ」ってな要望があるかもしれない。これは、米国がずっとアフガン、パキスタンを占領し続けたいという明確な意思表示の一つでもある。もし米国追従を続けるなら、政府はパンパン用女性自衛官の育成に着手しておいた方がいいかもしれない。

こちらは、ニューヨークタイムズの記事。写真に注目。米軍の許可を得て、読者に訴える場面をつくって写真が撮られているので、とても分かりやすい。

G.I. Jane Breaks the Combat Barrier
(戦闘の垣根を打破するGIジェーン)
http://www.nytimes.com/2009/08/16/us/16women.html?_r=2&pagewanted=1

カブールのNATO本部に自爆攻撃2009/08/17

15日、アフガンの首都カブールにある、NATO本部に自爆攻撃。マスコミでは大きなニュースになったのかなあ?それより、こっちの米軍向けサイトのmilitary.comの扱い方の方が面白いかも。

NATO HQ Bombed, Several Wounded
(NATO本部、爆撃を受ける。数人負傷)
http://www.military.com/news/article/nato-hq-bombed-several-wounded.html?ESRC=topstories.RSS

何だ、数人の負傷か大したことないなんて思うんだけど、本文を読むとまるで事情が違う。ほかのマスコミは....あははmilitary.comと同じ程度か。

アフガン、首都カブールのNATO軍本部前で自爆テロ
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090816AT2M1501A15082009.html

実際は「数人の負傷」どころか、「ロイター通信によると少なくとも7人が死亡、100人近くが負傷し、ISAF兵士も被害に遭ったもようだ。」とのこと。スゲー、攻撃だった。もちろんやったのは、タリバン。一番警戒厳重なところをやっちゃうわけですから、何でもできちゃうってことか?

悲しき戦後 - 従軍慰安婦(続き)2009/08/09

いわゆる「親米右翼」だけを非難するのは公平でないので、共産党をはじめとする、いわゆる「反米左翼」についても触れておこう。この方々はや韓国では良識派と見なされているという報道を目にしたことがあるが、一兵士として戦争にかり出された父を持つ俺としては、彼らの宗教的とも言える日本非難は心穏やかではなく、常軌を逸していると思える。昨日紹介したような元兵士の小野田寛郎さんの意見をごく普通の意見などと書けば、戦中の日本軍の蛮行を認識していない、反省が足りないということになる。

しかし、現実問題として朝鮮、中国を侵略して、そこに駐留することになった俺の父親と同世代の方々は、それらの国でどのような行動をとれたのかと思う。他国を占領、植民地化すれば、よほど優れた統治をしないかぎり、現地の人たちから反発を受けるのは当然であり、その反発の大きさに応じて、日本軍の方の弾圧も尋常なものではなくなっていく。別に日本だけが特殊というわけでもない。米国の侵略を受けたイラクでも、これは同じで、米軍は結局、グリーンゾーンという要塞都市、イラク各地に造られた軍事基地から出で、イラクの人たちと交わることはできなかった。最終的に抵抗を和らげるために、米軍はスンニ派と呼ばれる抵抗勢力をカネで買収するという方法をとった。で、同じことをアフガンでもやろうとしている。

俺としては、本人たちが気付いているかどうかは分からないが、「親米右翼」と「反米左翼」の対立構造が意図的に作られたものではないのだろうか、という疑問の方に興味が湧く。どちらの意見も一般国民の意見を代表しているとは思えないし、詰まる話、米国、その意を受けた自民党などが喜ぶ対立構造に見えるからだ。詰まり、「あった」「なかった」などの話ばかりで、本質的なところに議論がいかない。その意味では、「赤」とか「左翼」新聞とか呼ばれていた朝日新聞、また親米右翼を代表する産経、読売などが、この間、ずっと小泉や竹中の擁護派となり、共同歩調をとっているのは興味深い。