GM破産措置から見える構図 2 ― 2009/06/11
小泉・竹中時代の異様に巨額な為替介入と米国債購入、そして日本郵政問題。日本と米国は対等なパートナーなどという関係ではなく、日本は米国の支配管理下にあり、収奪され続けていることがやっと共通認識になり始めたようだ。これまで何となくそうは思っていたとしても、日本の現状を見て、やっとそういう認識が明確な形を取り始めたということなのだろうか。
日本の問題に入る前に、GM破産措置に至るまでの米国の金融経済の流れを見てみよう。先に紹介した次の記事に流れる「金融資本が産業資本に勝利する」とは、どういうことなのか?
R.I.P. Industrial USA. The Banksters Win, Even When They Fail
(米国製造業よ安らかに眠れ。自分たちが破綻しても勝利した銀行ギャングたち)
http://www.blackagendareport.com/?q=print/content/rip-industrial-usa-banksters-win-even-when-they-fail
この記事は次の文章から始まっている。米国金融資本が米国製造業を見捨てていく姿。
引用>GMは、金融資本と産業資本との間の一方的な戦いにおける長く続く犠牲者の列の最新の犠牲者にすぎない。 「GMと米国産業部門全体に関する不吉な前兆は、GMの金融部門、GMACの利益が自動車製造部門の利益を上回った80年中頃に遡る。 「現在の資本主義の危機の核心」は「きわめて低い賃金という条件がなければ」、金融資本が生産的事業に投資をすることはない」ことにある。<
では、米国金融資本はどこに向かったか。最大の投資先は、ご承知の通り中国。その過程で米国中産階級は次々と没落して、夫婦共働きでなければやっていけない世帯が増え、所得格差は極端に広がっていく。つまり、金融資本は社会の構成要素として必要と思われる自国製造業を見捨てて、自分たちの利益を優先したということであり、その先に今回のGM破産措置があるということだ。
貿易というと、やたら貿易黒字だけに焦点が集まるが、例えば米国と中国の間で、実際にカネをため込んでいるのはどちらか?その真の姿を人民日報が伝えている。米国メディアではアジア地域の「貯蓄」を悪いことのように攻撃するが、実際には、「貯蓄」などという言葉が馬鹿らしいほど巨額の利益を貯め込んでいるのは、米国のホンの一部の人たち。
「貿易黒字は中国に、利益は米国に」
http://www.chinaviki.com/china-news/old-news/2007-10-1/p-classSTYLE2-MaoYiHeiZi-ZhongGuo-LiYi-MiGuo-eh2b0182.html
なかなかよくまとまった記事なので全文を掲載させていただこう。
> 以下、「人民日報」から引用
貿易黒字は中国に、利益は米国に
中国旅行情報局 人民日報 jl 2007-10-1 10:12:33
(文:新華社世界問題研究センターの李長久研究員)
昨年、中国?米国間の貿易額は2626億8千万ドルに達し、中国の貿易黒字は1442億6千万ドルだった。両国間の貿易不均衡について、商務部の薄煕来部長は「貿易黒字は中国にあり、利益は米国にある」と表現する。イメージを的確につかんだ正確な表現といえる。
中国が巨額の貿易黒字を有しながら、利益の大部分が米国にあるとはどういうことか。これは中米貿易の以下のような特徴に基づくものだ。
(1)競争性よりも相互補完性が高い:中米間の経済貿易関係では競争性よりも相互補完性の方が高く、米国はより大きな利益を受けている。中国税関がまとめた統計によると、1996年~2003年の中国の対米貿易黒字は累計2291億千万ドルに上った。米モルガン?スタンレー社が発表したデータでは、この8 年間に低価格の良品である中国製品により、米国の消費者は約6千億ドを節約でき、米国メーカーはコスト引き下げを実現し、インフレが抑制されたという。
(2)中国の対米貿易の中心は加工貿易:中国の対外貿易では加工貿易が50%以上を占めている。昨年の対米輸出製品の総額2035億ドルのうち、加工貿易製品が63.3%を占めた。米紙「ワシントン?ポスト」が8月26日に掲載した元米国務次官補代理(アジア太平洋政策担当)?シャーク氏の論考によると、中国輸出商品の3分の2近くが外 資系企業、特に日本企業と米国企業により生産された海外ブランドの製品だ。20ドルのバービー人形を販売しても、中国には約35セントしか入らない。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の黄亜生教授は「中国はグローバル化から従業員の所得面で利益を受けたが、グローバル化がもたらした利益をため込んではない」と指摘する。
(3)米国の対中投資は中国の対米投資より多い:2006年末現在、米国の対中直接投資は実行ベースで累計540億ドルを超えた。一方、中国の対米直接投資は9億5700万ドルで、米国の投資額のわずか1.8%だった。中国にある米国資本企業約5万社は「一石三鳥」の利益を受けている。米国の関連機関の分析によると、03年の在中国米資企業の売上総額のうち、中国市場での売り上げが71%、米国市場が11%、その他の国?地 域が18%だった。06年の中国市場での売上高は約800億ドルで、利益は約100億ドルに 達した。
在中国米国商工会議所が行った調査によると、米資企業の73%が「中国で利益を得て いる」とし、37%が「中国での利益率が世界での利益率を上回っている」と回答し た。このため米資企業の51%が「今後5年間の投資先候補地のトップに中国を据えて いる」という。
(4)「メードインチャイナ」は「メードインザワールド」:中国製品は世界の共同製作品ということができる。中国は世界の組立センターだ。
米国カリフォルニア大学の3人の研究者がこのほど発表した研究報告によると、米アップル社の携帯型デジタル音楽プレイヤー「iPod」の販売価格は1台当たり299ドル。同社は生産ラインをもっていないが、日本の東芝などが提供する最も高価な部品が73ドル、その他の国?地域が提供する部品が60ドル、中国で行われる組立のコストはわずか3ドルほどで、米国に163ドルが入る計算になり、アップル社はうち80ドルを獲得する。中国が組立加工で得るのは販売価格の1%に過ぎない。しかし中国が米国にiPodを1台輸出するごとに、米国の対中貿易赤字は150ドル増加する。このため米ジョンズ?ホプキンス大学のランプトン教授は、米国が中国の輸出製品に向けて設置する貿易障壁は、実際には中国を苦しめるだけでなく、米国の友人?盟友を損ない、米国自身をも苦しめるものと指摘する。
米国は世界最大の先進国であり市場だ。中国は世界最大の発展途上国であり潜在的市場だ。中米間の経済貿易協力を拡大し深化させることは、両国国民の根本的利益に合致するだけでなく、世界貿易の発展推進に向けてより大きな貢献をすることになる。
>引用終わり (続く)
日本の問題に入る前に、GM破産措置に至るまでの米国の金融経済の流れを見てみよう。先に紹介した次の記事に流れる「金融資本が産業資本に勝利する」とは、どういうことなのか?
R.I.P. Industrial USA. The Banksters Win, Even When They Fail
(米国製造業よ安らかに眠れ。自分たちが破綻しても勝利した銀行ギャングたち)
http://www.blackagendareport.com/?q=print/content/rip-industrial-usa-banksters-win-even-when-they-fail
この記事は次の文章から始まっている。米国金融資本が米国製造業を見捨てていく姿。
引用>GMは、金融資本と産業資本との間の一方的な戦いにおける長く続く犠牲者の列の最新の犠牲者にすぎない。 「GMと米国産業部門全体に関する不吉な前兆は、GMの金融部門、GMACの利益が自動車製造部門の利益を上回った80年中頃に遡る。 「現在の資本主義の危機の核心」は「きわめて低い賃金という条件がなければ」、金融資本が生産的事業に投資をすることはない」ことにある。<
では、米国金融資本はどこに向かったか。最大の投資先は、ご承知の通り中国。その過程で米国中産階級は次々と没落して、夫婦共働きでなければやっていけない世帯が増え、所得格差は極端に広がっていく。つまり、金融資本は社会の構成要素として必要と思われる自国製造業を見捨てて、自分たちの利益を優先したということであり、その先に今回のGM破産措置があるということだ。
貿易というと、やたら貿易黒字だけに焦点が集まるが、例えば米国と中国の間で、実際にカネをため込んでいるのはどちらか?その真の姿を人民日報が伝えている。米国メディアではアジア地域の「貯蓄」を悪いことのように攻撃するが、実際には、「貯蓄」などという言葉が馬鹿らしいほど巨額の利益を貯め込んでいるのは、米国のホンの一部の人たち。
「貿易黒字は中国に、利益は米国に」
http://www.chinaviki.com/china-news/old-news/2007-10-1/p-classSTYLE2-MaoYiHeiZi-ZhongGuo-LiYi-MiGuo-eh2b0182.html
なかなかよくまとまった記事なので全文を掲載させていただこう。
> 以下、「人民日報」から引用
貿易黒字は中国に、利益は米国に
中国旅行情報局 人民日報 jl 2007-10-1 10:12:33
(文:新華社世界問題研究センターの李長久研究員)
昨年、中国?米国間の貿易額は2626億8千万ドルに達し、中国の貿易黒字は1442億6千万ドルだった。両国間の貿易不均衡について、商務部の薄煕来部長は「貿易黒字は中国にあり、利益は米国にある」と表現する。イメージを的確につかんだ正確な表現といえる。
中国が巨額の貿易黒字を有しながら、利益の大部分が米国にあるとはどういうことか。これは中米貿易の以下のような特徴に基づくものだ。
(1)競争性よりも相互補完性が高い:中米間の経済貿易関係では競争性よりも相互補完性の方が高く、米国はより大きな利益を受けている。中国税関がまとめた統計によると、1996年~2003年の中国の対米貿易黒字は累計2291億千万ドルに上った。米モルガン?スタンレー社が発表したデータでは、この8 年間に低価格の良品である中国製品により、米国の消費者は約6千億ドを節約でき、米国メーカーはコスト引き下げを実現し、インフレが抑制されたという。
(2)中国の対米貿易の中心は加工貿易:中国の対外貿易では加工貿易が50%以上を占めている。昨年の対米輸出製品の総額2035億ドルのうち、加工貿易製品が63.3%を占めた。米紙「ワシントン?ポスト」が8月26日に掲載した元米国務次官補代理(アジア太平洋政策担当)?シャーク氏の論考によると、中国輸出商品の3分の2近くが外 資系企業、特に日本企業と米国企業により生産された海外ブランドの製品だ。20ドルのバービー人形を販売しても、中国には約35セントしか入らない。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の黄亜生教授は「中国はグローバル化から従業員の所得面で利益を受けたが、グローバル化がもたらした利益をため込んではない」と指摘する。
(3)米国の対中投資は中国の対米投資より多い:2006年末現在、米国の対中直接投資は実行ベースで累計540億ドルを超えた。一方、中国の対米直接投資は9億5700万ドルで、米国の投資額のわずか1.8%だった。中国にある米国資本企業約5万社は「一石三鳥」の利益を受けている。米国の関連機関の分析によると、03年の在中国米資企業の売上総額のうち、中国市場での売り上げが71%、米国市場が11%、その他の国?地 域が18%だった。06年の中国市場での売上高は約800億ドルで、利益は約100億ドルに 達した。
在中国米国商工会議所が行った調査によると、米資企業の73%が「中国で利益を得て いる」とし、37%が「中国での利益率が世界での利益率を上回っている」と回答し た。このため米資企業の51%が「今後5年間の投資先候補地のトップに中国を据えて いる」という。
(4)「メードインチャイナ」は「メードインザワールド」:中国製品は世界の共同製作品ということができる。中国は世界の組立センターだ。
米国カリフォルニア大学の3人の研究者がこのほど発表した研究報告によると、米アップル社の携帯型デジタル音楽プレイヤー「iPod」の販売価格は1台当たり299ドル。同社は生産ラインをもっていないが、日本の東芝などが提供する最も高価な部品が73ドル、その他の国?地域が提供する部品が60ドル、中国で行われる組立のコストはわずか3ドルほどで、米国に163ドルが入る計算になり、アップル社はうち80ドルを獲得する。中国が組立加工で得るのは販売価格の1%に過ぎない。しかし中国が米国にiPodを1台輸出するごとに、米国の対中貿易赤字は150ドル増加する。このため米ジョンズ?ホプキンス大学のランプトン教授は、米国が中国の輸出製品に向けて設置する貿易障壁は、実際には中国を苦しめるだけでなく、米国の友人?盟友を損ない、米国自身をも苦しめるものと指摘する。
米国は世界最大の先進国であり市場だ。中国は世界最大の発展途上国であり潜在的市場だ。中米間の経済貿易協力を拡大し深化させることは、両国国民の根本的利益に合致するだけでなく、世界貿易の発展推進に向けてより大きな貢献をすることになる。
>引用終わり (続く)
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