*検察vs小沢の戦い 10 - 恐怖すべき結論(加筆)2009/06/20

急いで書いたために推敲が行き届かず「検察vs小沢の戦い 9」はかなり文章が粗っぽくなった。 ポイントをまとめると、問題点は、政治資金規正法での西松建設の国澤さんに対する検察側の次の起訴内容であり、

「06年10月ごろ、西松建設のOBが代表をしていた二つの政治団体経由で、小沢氏の資金管理団体「陸山会」、同氏が代表を務める「民主党岩手県第4区総支部」、最高顧問を務める「岩手県総支部連合会」に対し、計500万円を違法に献金した(政治資金規正法違反)。」
ソース:朝日新聞 - 「小沢事務所、談合に「天の声」 西松建設公判で検察主張」
http://www.asahi.com/national/update/0619/TKY200906190059.html

検察が主張するように06年10月ごろの国澤さんの行為が違反であるなら、読売をはじめとするマスコミが報道した時効の問題はまったくの虚偽ということになる。規正法違反の時効は5年、期限が切れるのは2011年で、衆議院選挙を終わった後でも、別の検察幹部が言う「これだけの違法行為を立件する」余裕は十分にあった。ここから導き出される結論は一つ。衆議院選挙を前に、検察はただ単に小沢さんを陥れるために大久保秘書をいきなり逮捕、拘留、起訴し、その間、マスコミに対するリークという形で反小沢キャンペーンを張った。

とはいえ、この結論を前提として、さらに報道されているいくつかの事実をつなぎ合わせると、俺たちはまた別次元の恐ろしい結論に達せざるを得ない。ちょっと思い出すだけでも、次のような事実が挙げられる。

・ 上記時効の問題をはじめとして全体像を見ていくと、検察が小沢さんの秘書、大久保さんを逮捕、拘留、起訴した理由は、言いがかりのようなものである。
・ 国澤さんの裁判は1回だけで結審したが、ほぼ自供だけに頼った裁判とも言えない裁判内容(これは司法さえも警察検察の強い影響下にあることを伺わせる)
・ 元警察官僚、現内閣官房副長官の漆間巌氏の「自民党議員に波及する可能性はないと思う」というオフレコ発言と、そうした発言がなかったかのようなその後の扱い
・ 少なくとも俺の回りでさえ検察の捜査を疑問視している人が多いのに、自民党から疑問視する声が聞こえてこない。
・ 今回の検察の捜査に対し指揮権発動がなされないばかりか、森法相が「私は検察に全幅の信頼を置いて、その独立性・中立性を尊重したい」という発言をしている。

ほかにも事実は挙げられるかもしれない。

最後の指揮権発動がされなかったことについて、元検事の郷原信郎さんは指揮権発動がタブー視されていることを挙げているが、むしろ俺は、タブー視するもなにも、麻生現政権には検察の捜査の是非を疑問視する気持ちさえない、あるいはできないという見方をしたい。大久保さん逮捕を仕掛けたのは自民党政権ではなく検察の方で、自民党はそのおこぼれに預かろうとしただけではないのか。もちろん、政権あるいは首相の座にあることだけが最重要事項で、他にはこれといった考えのなさそうな麻生首相を筆頭とする自公政権が漆間さんあたりに簡単に丸め込まれた、あるいは検察とグルであることは考えられる。

これらの事実をつなぎ合わせると、最終的に出てくる結論は一つしかないと思われる。

「力関係において、警察検察官僚は麻生現政権ばかりでなく、自民党の上位に立っている。」

さらには、政権よりも上位にあるのだから、

「警察検察官僚による政治、社会支配が進んでいる。」

とも言えるかもしれない。

金融資本は何を目論んでいるのか? 22009/06/20

昨日の「金融資本は何を目論んでいるのか?」(当初の記事見出しは「何を目指しているのか?」)では、ウォールストリート・ジャーナル(WSジャーナル)に掲載されたヘンテコな記事を紹介した。次に進む前に、WSジャーナルに掲載された次のグラフは大見出しが適切ではなく、正しくはどのようなグラフであるべきかを示したい。あるべきグラフがニッセイアセットマネージメントのサイトに掲載されていた。


WSジャーナルのグラフ


ニッセイアセットマネージメントのグラフ
(グラフ4)米国商業銀行 資産の推移(銀行信用と現金)
ソース:「日米英の量的緩和について」
http://www.nam.co.jp/market/market/09/marketnow04.html

このグラフ中の青色で示された「銀行信用」というのが"Money Supply"(通貨供給量)のことであり、赤色の「現金」というのが、中央銀行(米国ではFRB)から民間銀行への"Monetary Base"のことである。WSジャーナルの大見出しで"Money Supply"とされていたグラフの変化が、ニッセイの「現金」の変化と一致し、08年末頃からほぼ90度で増加していることが分かる。


ところが、「銀行信用」、つまり銀行から民間への通貨供給量は、"Monetary Base"とは反対に2008年当たりから劇的に減少している。要するに、これまでのところ投入された税金は当初の目的である市場の活性化ではなく、金融機関だけのために使われたと考えていいだろう。また、「金融安定化法」は元々は"Troubled Assiets Relief Program"(不良資産救済プログラム)という枠組みの中で決まった法律であることを念頭に置くことも大切と思われる。


短期間の間にどのようにしてハゲタカ金融機関が「夢の宴再始動」と記事にされるまでになったのか。とはいえ、その記事はハゲタカ金融機関の真の姿を伝えているのか、という疑問も重要と思われる。なぜなら、金融機関が好調であるためには、健全な借り手が必要である。しかし、住宅バブル、証券化商品バブルが破裂した現在の米国の実体経済を見れば、そんな健全な借り手はおいそれとは見つからないと思われるからだ。実体経済がそんな状況の米国で、これほど多額の税金投入を行って、金融機関を助ける意味がどこにあるのだろうか。


米ウォール街 夢の宴再始動
http://www.business-i.jp/print/article/200906180029a.nwc