大阪府メール問題 - 公機関におけるメールの取扱い2009/10/11

少し前に、大阪府の安威川ダム利水撤退に絡んで起きた橋下知事のメール問題には少し興味をもった。橋下知事や抗議をした女性職員の良し悪しではなく、公機関でメールがどう扱われているのかという観点からだ。

事態の進展は、このブログの方がよくまとめてくれている。

橋下知事 メールに反論の職員を処分 from 「王様の耳はロバの耳」
http://blog.goo.ne.jp/hiroharikun/e/ebb803e1de25212457b2863c0a6094db

事の発端は、1日、「『知事がダム撤退で府の損失が386億円に上るのに議会に於ける幹部の報告が(府民に損害を掛けたとの反省が見えない』てな事で怒りのメールを全職員に送ったらしい。」とのこと。ポイントは、このようなメールを「全職員に送った」こと、メールで送るような内容であったかどうかにある。読む限り、あくまで橋下知事の感想である。送られた方の職員は、恐らく全員目にするだろう。俺から見ると、とてもこんな感想、仕事中の職員にメールで送るような内容に思えない。例えば府庁内で掲示板みたいなものを設置して、そういう場所に出すのが適当と思われる。そうすれば、職員も時間のあるときに目を通すことができるし、意見も書きやすいし、今回のようなつまらないもめ事はなくなるだろう。

だから、女性職員が返信した「メールを読む時間×全職員の時間を無駄にしていることを自覚してください」との内容は、至極的を射ていると思える。メールを送り返すかどうかは別にして、俺も橋下知事が書いたような内容のメールを送られてきたら、「くだらないメールを送ってくるな」と腹の中で思うだろう。どうも、橋下さんはメールをどう扱うのが正当か、問題意識がないようだ。しかし、それ以前に、こんな記事を読むと、大阪府自体、メールの扱いがめちゃくちゃで、きわめて問題が多いと思える。

橋下知事メール「府幹部が削除」 サーバー保存もしていなかった
http://www.j-cast.com/2008/12/26033030.html

メールはどのような目的で使用すべきか規定し(少なくとも感想文を職員全員にメールで送るなんてことは禁止すべき)、公文書として少なくとも5年以上保存しておくことは役人の義務じゃなかろうか。そうすることで誰と誰の間でどのようなことが行われていたのかを後からでも明らかにできる可能性が増す。

しかしまあ、こんなつまらないことで見通しの甘さから起きた386億円に上る無駄をうやむやにできるなら、お安いものだろう。言い過ぎの感がないでもないが、ここでもまた、女性職員のこの指摘は的を射ている。

「責任は(投資を)決断した人にある。こんな感覚の人が知事である方が恐ろしい。」

ノーベル平和賞を出すノルウェイが羨ましい!2009/10/11

オバマ大統領にノーベル平和賞を授与した理由の全文が公開されている。

【ノーベル賞】オバマ氏の受賞理由発表全文 非核化や環境「世界を先導」
http://sankei.jp.msn.com/world/america/091009/amr0910092107011-n1.htm

この中にこんな一文がある。

「委員会は、核兵器のない世界に向けたオバマ氏のビジョンと働きに特別な重要性があることを認める。」

日本人としてのアナタは、この文章を読んで何か引っかかるもの、違和感を感じないだろうか.....

もし「核兵器のない世界」に向けた努力に絞って世界への功績を認めるなら、原爆を二発も食らってその悲惨さを目の当たりにし、ヒロシマ・ナガサキにその記録を残している日本こそが「核兵器なき世界への貢献賞」ってな賞を作り、核兵器廃絶に向けて努力、貢献をした人たちに賞を授与するのが本当だったのではないだろうか。

日本は1951年のサンフランシスコ条約によって戦争で生じた被害についていっさいの請求権を放棄している。しかし、原爆の悲惨さを訴え、それがなくなるように努力はできただろう。今回のノーベル平和賞は、日本が本来果たすべきであった、そんな役割を明らかにしてくれたと思う。

と同時に、戦後、政治を担ってきた政治家連中が、表向きは核兵器に反対しながら、いかに世界に対して発信する努力を怠ったか、また戦後政権を担ってきた自民党がいかに米国に対して腰が引けていたかがよく分かる。

ノーベル平和賞の受賞理由として今回のような理由が発表されてしまった以上、これから日本が核兵器廃絶に絞った賞を設けることにどれほどの意味があるのかは分からない。とはいえ、世界には核兵器がどのようなものか知らない人は一杯いる。日本人でさえ一杯いる。日本がそのような賞をつくり、世界に対して訴えることに、まだ意義があることを望みたい。