米国の現在の状況を冷静に把握する 32009/10/02

この数年以内に米国で起きるであろうこととして、一番気になることは何だろうか。バブルが崩壊して米国金融資本の動きばかりが報道されるが、不気味なのは、やはり1961年にアイゼンハワー大統領が退任演説で口にした「米国軍産複合体」の動向ではないだろうか。

表向きの報道を見れば、オバマ大統領はその軍産複合体をどうにかしようとしているように見えるが、予算教書でオバマさんが発表した国防予算はブッシュの頃と大して変わらない。というより増えている(約2割)。

「しかしオバマでも国防費はブッシュの頃と全く変えることができないんですなぁ。実質的に4%の増加の6637億ドルで、それに色々余計なものがついて合計7千億ドル」
地政学を英国で学ぶ:オバマ政権の国防費について
http://geopoli.exblog.jp/10424857/

しかし、この国防費はあくまでペンタゴン予算であり、その他さまざまなところに散らばった実質国防予算は計算に入っていない(恐らくVAとか国土安全保障省とかのさまざまな予算を入れれば国家予算の50%前後になると思われる)。

気になるのは、ウォールストリートの金融資本と軍産複合体との力関係はどのようになっているのか、ということだ。それとも両者は重なっているのだろうか?友好関係にあるのだろうか?しかし、俺が目にしている限りでだが、ゴールドマン・サックスなどの金融資本の裏の動向については、かなり表に出てきているにもかかわらず、軍産複合体に関する報道は表向きのものばかりで、裏の報道がない。ということは、少なくとも友好な関係ではないと考えていいのではないだろうか。

軍需産業が他の一般的な自動車などの産業と違う点は何だろうか。それは、いくら商品として売れ、メンテで儲けが出せるといっても、基本的には、国民の税金を前提にした受注産業ということじゃないだろうか。しかし、ペンタゴンは10年,20年先のスパンで兵器開発計画を進めている。結局、「地政学を英国で学ぶ」の方も指摘しているように、オバマもこの国防予算に手を付けることはできない。

ご承知のように、これからますます米国経済は縮小していくだろう。ということは、税収、国家予算が減っていくということであり、兵器開発計画に重大な支障をきたすことを意味する。軍需産業は折り合いをつけられるのだろうか。折り合いが付けられないとすれば、どのような事態が予想されるのだろうか。

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