1,390,000,000,000,000円?2009/07/28

これは、米国テレビMSNBCの”Morning Meeting”のホスト、Dylan Ratigan氏が発言した、米国銀行の不良資産を買い取るためにFRBが銀行に注入した金額である。13.9兆ドル、100円換算で1,390兆円になる。この金額はほぼ米国の名目GDPに等しい。おまけに、この金額は、上昇率は鈍化するにしても、まだまだ途中である。なぜなら、失業率の増加ばかりでなく、賃金が低下して、その必然の結果として、カード破産や住宅の差し押さえは増えるだろうから、金融機関の不良資産もまた増えていくと予想されるからだ。サブプライム、Alt-A、さらにはプライムへと不良化が広がっている。

米国のGDPに占める消費の割合は70%。これまでの情報を踏まえると、米国GDPは劇的に低下していると考えられる。ただし、米国がちゃんとした数字を出すかどうかは怪しい。サブプライム・ローンでも、誰がどんな人がローンの契約者かも知らずに証券化し、いくら私企業とはいえ、格付け機関と銘打っているところが、内容も調べずトリプルAと評価してしまうほどの国だ。

いずれにしても、いくらかGDPなどに見える金額が大きくても、他人のカネにパラサイトすることが仕事の金融と、他人のモノを強奪できない限りはほぼ金食い虫といっていい軍需産業が中心の米国で、バーナンキさんの言うような「経済再生」は、どのようにして可能になるのだろうか?言っていることが、まるで手品に思える。

バーナンキFRB議長「金融機関救済は経済再生のため」
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090728AT2M2701P27072009.html

きっと中国以下の賃金、生活水準になれば、「経済再生」に向かうのかもしれない。何年後になるのかは分からないが...

「金融機関救済は経済再生のため」2009/07/28

金融機関救済でよく挙げられる理由に「大きすぎて潰せない」というのと「経済再生」のためと言うのがある。かの大国の中央銀行であるFRB議長のバーナンキさんも、そう言っている。しかし、それなりに社会生活を送ってきた俺には、この「金融機関救済は経済再生のため」という理屈が不思議で仕方がない。

バーナンキFRB議長「金融機関救済は経済再生のため」
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090728AT2M2701P27072009.html

この「経済再生」の「経済」ってのは何なのだろうか。最大の疑問はここにあるだろう。「経済」に金融機関は含まれるのだろうか?いやあ、税金による救済のおかげでいくつかの金融機関は黒字になったそうです。軍需産業はどうでしょうか?これは歳入が右肩上がりである限り、心配ないんじゃないでしょうか。誤魔化す方法はいくらでもあるし。金融と同じで税金を使いまくっています。となると、バーナンキさんの言う「経済」というのは、金融と軍需産業だけのことでしょうか?それだけであれば、満点に近い点になるかもしれません。

冗談はさておき、そんなことあるはずありませんよね。賃金低下ばかりでなく、失業率は増加する一方なわけだから、自動車産業再生とか、一般国民のために再生しなければならない産業はいくらでもあるでしょう。それが、バーナンキさんの言う「金融機関救済は経済再生のため」ってことなんでしょう。健全化した金融機関が企業や個人に出資して経済再生....ってな未来像なわけ。

幸か不幸か日本では、金融機関が融資をすれば、経済は再生するのか?という疑問に答えてくれる実例が山ほどある。例えば、東京都が設立した「新東京銀行」。2008年末時点で貸し出し総額は2,000億に近いそうです。で、その融資を受けた企業は立ち直って、経済は再生したのでしょうか?また、知人の社長さんの言によれば、今、銀行は融資先を見つけるのに一生懸命だそうです。挙げ句の果てが、たかだか年利2%前後の住宅ローンの奪い合い。「たかだか」と書きましたが、実際、それに一生懸命で、言い方を変えれば、年利2%でも文句なしの経済状況ってことです。これって何を意味するんでしょうか?

金融機関が健全化して、融資さえ始まれば、経済が再生する?...産業がそんなに簡単なものなら、かなりの人が銀行融資を受けるでしょう。金融機関(というより融資機関)の健全化は必要な条件ではありますが、この条件が満たされたからといって、産業が再生するほど世の中甘くありません。バーナンキさんもよく言うものです。こういう方が、俺らが日本のご主人様、米国の中央銀行、FRB議長というわけですね。

国を、社会をどうしたいか?2009/07/28

少なくとも俺は、次の衆議院選挙は「国を、社会をどうしたいか?」ということが最大のテーマの選挙だと思っている。ある意味、敗戦後の日本と同じようなものと考えている。だから、自民党やマスコミがいう財源、また財政再建なんてことはどうでもいい。そもそも、これほど日本の財政をメチャクチャにしたのは自公政権、特に小泉竹中政権以降であり、それは国債の増え方を見れば歴然としている。何を今更、財政再建だろうか。財政再建をやろうと思えば、自分たちが政権についている間に、いくらでも出来ただろう。

国債発行残高の推移
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/saimukanri/2006/saimu02b_04.pdf

年間自殺者数が10年以上も3万人を超えているなんて、異常そのものだ。現実には、アフガンやパキスタンのような空からの爆撃がないだけで、まるで戦争をやっている状態なのだ。俺の親を含めて、敗戦後、国民はとにかく生活と一生懸命働いた。そのおかげで、大多数の日本国民はそれなりの、あるいはまあまあの生活ができるようになった。しかし、国を社会を良くするためには、ただ一生懸命働くだけじゃダメなんだ、と思い知らされたのが、小泉竹中政権ではないだろうか。一人一人が、国を、社会をどうしたいか?と考えて投票する選挙、そしてその後も政治が何をしているのかを注意を向けていなければならない時代になったんだと思う。それを怠れば、りそな、日本郵政をはじめとして、ご主人様のパラサイト、その提灯持ち連中に何をされるか分かったものではない。

日本の本当の意味での「敗戦後」が始まろうとしていると思える。