日本郵政と西松建設2009/06/14

総務省が日本郵政に対して出した「日本郵政株式会社法第14条第2項に基づく監督上の命令等」という報告の「企業統治について」というセクションを読んでいたら、小沢さんの関係で読んだ西松建設の内部報告書を思い出した。外国為替及び外国貿易法違反の被疑者を出した西松建設は内部報告書の「原因分析」と題する章で次の問題点を挙げている。

1 コーポレート・ガバナンスの機能不全
(1) 経営監視機能の不備
(2) 管理監督体制の欠陥及び監視監査体制の欠如
(3) リスク管理体制の機能不全
(4) 指揮命令系統の機能不全
(5) 重要取引に関する審査機能の不足
(6) 一部の役職員への権力集中(人事の長期固定化)
2 コンプライアンス意識の欠如
(1) 役職員の危機管理能力の欠如
(2) 会社の隠蔽体質
(3) 上層部の指示・要請に対して従ってしまう社内風土
(4) 内部通報制度の不備
(5) 旧来からの慣行、外部関係者からの要請
(6) 不正に対する感覚麻痺

どの項目にもそれらしい内容はなかったんだけど、日本郵政がやっていたような、「相手方との間で口頭確認のみが行われたとされており、合意メモすらも残されていない」とか、「上司への口頭報告等で行われたため、役員共同での適正な意思決定が行われたかについて、事後的・客観的に確認できない」なんてことはどのぐらいあったんだろうか。その内容によっては、日本郵政は西松建設より最初からコーポレート・ガバナンス(企業統治)がなっていないなんてことになるけど。そんな問題があっても、西川さんを再任しちゃう指名委員会とやらのこの方々ってスゴイよね。おまけに、植草一秀さんがご指摘のように、再任する本人が本人を再任してるんだから、お笑いの域を超えているでしょ。

委員長 牛尾 治朗(うしお じろう)
委員  西川 善文(にしかわ よしふみ)
委員  高木 祥吉(たかぎ しょうきち)
委員  奥田 碩(おくだ ひろし)
委員  丹羽 宇一郎(にわ ういちろう)

鳩山邦夫総務相の政治生命を決す日本郵政人事
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-cb22.html

日本郵政とゼネラル・モーターズ(GM)2009/06/14

グレン・フォードさんから快諾を得られたので、彼の書かれた記事を紹介したい。「米国製造業よ、安らかに眠れ」。Many thanks, Ford-san。

株の保有率は違うが、日本郵政とGMのどちらも現状は国有化された株式会社である。記事によれば、GMの破産担当者としてオバマさんは金融資本家のスティーブ・ラトナーなる人物を指名した。今後の日本郵政がどうなるか?本当の黒幕は米国金融資本なんてことが囁かれている今日この頃、日本郵政とともにGMの行方もまた興味深い。また、社外取締役として郵政に名を連ねる産業界の雄、トヨタ自動車株式会社取締役相談役の奥田碩さんがGMの措置をどう見ているのか?この記事にあるような見方が現実になっていくと、最悪、奥田さんが自動車業界の裏切り者と呼ばれる日が来るかもしれない。

R.I.P. Industrial USA. The Banksters Win, Even When They Fail
米国製造業よ、安らかに眠れ。自分たちが破綻しても勝利した銀行ギャングたち
By Glen Ford

「最終的に金融資本家が産業資本家を壊滅させるであろうことは明白なことだった。」

GMに関する企業メディアのストーリーは死亡記事のように読める。 しかし、メディアは葬儀を正しく報道していない。業界巨人としてのGMの死は、米国における産業資本主義の最後のあがきとなるものだ。 そして、その死は自然死ではなかった。

GMが世界最大の企業になったのは、米国が世界で群を抜いた工業国であった時代。実際にモノを造る産業資本と金融資本の間にはつねに闘争があった。金融資本は、自分たちのやりたいようにして産業基盤を解体し、価値を下げたり、売り払ったり、閉鎖したりする。二世代前に、金融資本は産業資本との戦いで優位に立ち、米国の脱工業化に着手した。

脱工業化は長くはあったが、着実な道のりだった。その過程で、金融資本は世界全体の製造を低賃金の地球の南と東に移転するというところにまで至った。GMと米国産業部門全体に関する不吉な前兆は、GMの金融部門、GMACが自動車製造部門の利益を上回った80年中頃に遡る。ほどなく、GMACは住宅ローン事業に参入した。その瞬間から、最終的に金融資本家が産業資本家を壊滅させるであろうことは明白なことだったのだ。

しかし、金融資本が米国を完全征服する途中で滑稽なことが起きた。 両手に州政府、連邦政府の鍵を手にし、ポケットには間もなく大統領になる黒人がいるのに、投資銀行階級は自身の矛盾から内部崩壊した。有益なものは何も生み出さずに数兆ドルを集めることに成功した金融資本パラサイトは、症状を進め、何にも基づかないデリバティブと呼ばれる莫大な額の架空資本を創造した。ここで計画は頓挫した。

「バラク・オバマは、自動車産業の最終的に破産させる役を金融資本家スティーブ・ラトナー(Steve Rattner)に任せた。」

金融メルトダウンは全面崩壊に近かったが、金融資本の政治的影響力が減少することはなかった。去りゆく共和党ホワイトハウスを支配したのとちょうど同じようにして、金融資本は次の民主党ホワイトハウスの下で経済政策を支配した。バラク・オバマは、最終的な自動車産業破産の役割を金融資本家スティーブ・ラトナーに任せた。左派エコノミストのスタンリー・アロノウィッツ(Stanley Aronowitz)は、米国の歴史上、これを最大の組合潰し演習と評している。オバマ大統領は自身のWebサイトで、全米自動車労組から譲歩をもぎ取った点でブッシュ政権よりも「アグレッシブ」と自慢している。新生GMは今やその60%が米国民によって保有され、小型自動車の生産が認可されることになるだろう。とはいえ、生産は米国ではなく、中国でだが。

実際にはオバマの擁護者は、使われなくなった自動車産業基盤は公共輸送か他のグリーン産業の構築に大転換されると考えていた。彼らはオバマが銀行家の大統領であることを見ていない。有益、生産的なモノを銀行家が構築することはない。これこそ、現在の資本主義の危機の核心である。きわめて低い賃金という条件がなければ、金融資本が生産的事業に投資をすることはない。 銀行家、そして彼らに仕える政治家が権力から駆逐されないかぎり、GMの後を継ぐものはない。

ソース:http://www.blackagendareport.com/?q=print/content/rip-industrial-usa-banksters-win-even-when-they-fail

業界の雄が業界の裏切り者になる時...2009/06/14

総務庁が公式に指摘しているように、どこをどうとってもデタラメなことをやっているとしか見えない日本郵政の西川善文氏に役員として肩入れする自動車業界の雄、奥田碩さん。ネットでは、裏に米国金融資本があることが当たり前のように言われている。奥田さんの意図はどこにあるのだろうか?

総務省-「日本郵政株式会社法第14条第2項に基づく監督上の命令等について」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000015456.pdf

前の記事の「米国製造業よ、安らかに眠れ。自分たちが破綻しても勝利した銀行ギャングたち」という記事を書いたグレン・フォードさんの見解によれば(俺自身もそう考えている)、「きわめて低い賃金という条件がなければ」、米国金融資本が米国内で自動車産業に投資をすることはない。となると、米国自動車産業は潰れることになるが、それでトヨタは得をするのだろうか?....そんなことはないだろう。「きわめて低い賃金」という条件は中国で満たされる。米国金融資本は中国の自動車産業に投資をすればよいだけである。それで、これまでの製造業同様、利益は米国金融資本に還流される。

ハイブリッドなど日本の技術の優位性が絶対視されるが、技術は技術。カネで買えるし、伝達できる。遅かれ早かれ、中国が追いつくことは間違いないだろう。となると、残る条件は「きわめて低い賃金」だけということになる。もしトヨタが日本に拠点を置いたままにするなら、日本の賃金も中国並みにならなければ、勝負は見えている。奥田さんはそんなことを目指しているのだろうか?

それとも、日本郵政の役員として小泉、竹中、西川さんという売国奴3羽ガラスに協力し、日本の自動車産業などには見切りをつけて、自身も米国金融資本の仲間入りでもしたいのだろうか?もっと悪くて、ついでに、米中G2体制のためにトヨタの技術を中国に売り飛ばし、自分も一儲け、ってなことをを考えているのだろうか?

どれも俺の勝手な憶測だが、そんな憶測ができるほど、奥田さんが現在やっていることは不可解である。

なぜ彼らは売国奴か?2009/06/14

俺の回りには小泉さんや竹中さん、西川さんを「売国奴」と呼ぶことについて、信じられないと言う人、反発を覚える人が未だにいる。そのときは、総務省が鳩山邦夫元総務相名で4月3日付けで出した次の公文書を読むように勧める。A4でわずか5ページの文書。例えば次の「3 企業統治について」を読んだだけでも、自分が勤める会社、あるいはご主人が勤める会社と比較して、これがまともな会社と思える人がいるだろうか。こんな会社が「国民の共有財産」を預かっている。

「3 企業統治について
御社の経営者には、企業統治に係る責任があるところ、本事案においては、アドバイザー及び譲渡先の選定・審査における御社内の意思決定が担当執行役又はその上席の執行役の専決で行われており、また、重要な契約条項の実際の取り運び方について、相手方との間で口頭確認のみが行われたとされており、合意メモすらも残されていないため、合意内容が客観的に確認できないことから、本来、執行役の業務の監督を行うべき取締役会や内部監査が十分に機能していたか疑問が残る。国民共有の財産に関する認識の欠如も含め、その意思決定態勢自体に、大きな問題があるものと判断する。また、入札手続等の過程については、2次入札者の決定等、譲渡先選定に係る重要な意思決定が上司への口頭報告等で行われたため、役員共同での適正な意思決定が行われたかについて、事後的・客観的に確認できない状況にある。さらに、国会や総務省への本事案に関する説明も二転三転する等、国民利用者に対する説明責任を十分に果たしていない状況にある。」

総務省-「日本郵政株式会社法第14条第2項に基づく監督上の命令等について」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000015456.pdf