注目すべき米ニューヨーク・タイムズ紙の記事2010/01/23

少し前に小沢氏に焦点を当てた「小沢一郎の破壊」と題する英フィナンシャル・タイムズ紙の社説を紹介したが、今度は米ニューヨークタイムズ紙が検察の行動に焦点を当てた記事を紹介する。嬉しいことに、阿修羅という掲示板にこの全文を日本語にしてくれた方がいる。心から感謝したい。前に紹介した英フィナンシャル・タイムズ紙と読み比べて欲しい(ニューヨーク・タイムズ紙の実際の見出しは「Japan Stalls as Leaders Are Jolted by Old Guard(保守派による指導者揺さぶりで立ち往生する日本)」)。何が違うのか...(一部、漢字を置き換え)

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In Japan’s Scandals, a Clash of Old Order and New
By Martin Fackler
日本のスキャンダル、新旧体制の対立
マーティン・ファックラー

国家において生じる典型的な政治スキャンダルにおけるすべてのネタが今回もすべて含まれている。建設会社から受け取った札束、後ろ暗い土地取引、強力なボスの身代わりだと広く見られている険しい表情をした政治的側近の深夜の逮捕などなど。

今回の検察による政治資金に関する規則違反に対して展開されている、与党の大物小沢一郎に対する捜査は、この国のもっとも剛腕な政治家で、新しい改革派のリーダーと、戦後権力体制の中でももっとも強力な組織である検察庁との間の公開のバトルであるということで、国中の関心を引きつけている。

この国の制度が変化することの兆しの中で、この対立の行き詰まりは、いつもとは違うパターンの批判の声の奔出を招いている。今回は批判が小沢氏だけではなく、腐敗した企業経営者や政治家の天敵として長く社会から賞賛されてきた少数精鋭の検事たちの巨大な裁量権にも向けられているのだ。

検事たちが、(社会正義とは)何か別のものを守っているのではないかということへの疑問もまた提起されている。すなわちこの国の停滞した現状維持勢力であり、強力な権力を有するが、ほとんど説明責任をもたない官僚制度に対する批判だ。

そして小沢氏の民主党が昨年夏に自民党の長期政権を破ったときに打倒を誓ったのが、まさに、この官僚制度だったのである。元検事の郷原信郎氏は次のように語る。

「このスキャンダルは、日本の民主主義を危機に陥れている。このスキャンダルは官僚システムが、自分に対して挑戦してきた、選挙で選ばれたリーダーから自分を守るために反撃したものなのだ。」

最新の動きは週末に起こった。検事は一人の民主党議員と小沢氏の元秘書二人を逮捕した。小沢氏は、民主党の歴史的勝利の設計者であり、謎につつまれた、練達の密室政治家である。

今回の捜査は、検察官たちによって行われている民主党リーダーたちに対する一連の捜査の中の最新のものである。一連の捜査の中には先月行われた、鳩山由紀夫首相の政治資金の報告義務違反が含まれている。鳩山氏への捜査によって新米政府に対する世論の支持がかなり弱まった。

しかしながら、過去において訴追された政治家の多くのように、弱々しく謝罪を繰り返す代わりに、民主党は反撃を開始した。週末に東京で行われた民主党大会において、小沢氏は、検察庁との全面対決を叫んだ。歓声を上げる聴衆に向かって、小沢氏は次のように言った。

「我々は絶対にこういったやり方を認めることはできない。こういったことがまかり通るのならば、日本民主主義の未来は暗い。」

多くのものにとってさらに衝撃的だったのは、鳩山氏が小沢氏に与えた支持発言だった。鳩山氏は、検事たちに対して政治的コントロールを行使する法的権限を有する首相なのである。この権限は第二次世界大戦後一度だけ時の首相によって行使されている。

「私は彼を信じています。どうぞ戦ってください。」と鳩山氏は言った。

鳩山氏は後に捜査に影響力を行使しないことを約束した。政治専門家たち、この発言がほぼ確実に世論からの厳しい反発を被るであろうと述べている。とはいえ、こういった民主党の側からの抵抗は、学者やニュースメディアの一部で広まっている、検事たちは、民主党が官僚をコントロールするという公約をしたことや、法務省に属する検察庁が、まさにこの官僚システムの根幹となる、強力な組織であるという理由から、民主党に対して仕返し(vendetta)を行っているのだという検察批判を力づけた。

郷原氏やその他検察に批判的な人々は、古い政党政治の名人小沢氏を擁護するというよりは、検事たちによって適用される選別的正義を批判しているのである。検事は、これまでも、日本の戦後体制に対する挑戦に対しては厳しく、体制の内部者には寛大だったのである。

こういった疑惑は昨年の初めごろから強まっている。当時、政治資金規制法違反への初期の捜査によって、重要な衆議院選挙の直前に、小沢氏は民主党党首から辞任するまでに追い込まれた。検察に批判的な人々は、検察が西松建設から資金を同じく受け取ったにもかかわらず。自民党議員の追求を行わず、小沢氏だけを追求したことを指摘している。

そして二番目のスキャンダルが約1ヶ月前に起こった。政治の専門家の中には、小沢氏に対して繰り返される捜査は、検事たちが、日本の体制に対する一種の免疫システムとして機能していることを示しているという意見もある。彼らが、小沢氏が、政府民主党の財布をほぼ完全にコントロールし、過剰な権力を集めることを恐れたために、今回の行動に及んだと見ているのだ。

また1970年代の小沢氏の師匠田中角栄首相の逮捕に遡る何十年にわたる検察との確執を指摘するものもいる。こういった見方によると、検察庁は、昨年、小沢氏が、民主党の中に特別委員会を設立し、首相が検察に対してより多くのコントロールを行使することを要求しはじめたことが、恐怖だったのだということになる。


「検事たちは小沢が日本を自分の個人帝国に変えようとするかも知れないことを恐れたのである。」と慶応大学の政治学者小林良彰は言う。議論は、日本の2600名の検事たちに対する普通ではない公的な精査にフォーカスしていた。

日本の検察は、米国やその他の西側民主主義の司法制度とはかなり違った勢力だ。検察庁は、誰に対して何時調査を開始するかを決める権利だけではなく、告訴以前に、容疑者を逮捕し、拘留する権利も持っている。これによって彼らは実質的に、警察、法務大臣、そして裁判官の力をひとまとめにしたほどの権力を持つことになっている。

検察は、伝統的に、超難関である日本の司法試験に合格した一握りの若い法学生から選ばれてきている。彼は、また、容疑者の職場や自宅への突然の家宅捜査で有名である。家宅捜査の数分前に与えられた情報で勢揃いした大軍の記者とカメラマンの前を断固とした様子で、ダークスーツを見にまとった無表情の検事たちが行進するあの風景だ。

実際、メディアの専門家たちは、検察は大手のニュースメディアとの密接な関係を享受しているという。こういった関係の結果ニュースメディアによる今回の小沢氏の捜査に対しては概ね好意的(Positve)な報道が行なわれている。

ニュース報道は、検察からのリークに基づいて予測可能なパターンのストーリーに従って行われている。たとえば検察が小沢氏が東京の土地に投資することによって隠そうとしていると思っている4億円に関する詳細事実が、ニュース報道の中では現れてくる。

こういったことに憤激した、民主党議員は、報道に影響を与えるための検察のリークの利用を調査するための議員のチームを組織することによって反撃することを誓った。

「このスキャンダルは、新しい政権がどれだけ大きな波紋を引き起こしたかということや、どのように旧システムが反撃するかを示している。」と元検事の郷原氏は語った。

http://asyura.com/10/senkyo78/msg/290.html#c2
原文はこちら:http://www.nytimes.com/2010/01/20/world/asia/20japan.html?scp=1&sq=ozawa&st=cse
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鳩山氏、小沢氏、民主党に対する検察・マスコミの行動のもつ意味に対する分析など、前に紹介した英フィナンシャル・タイムズ紙とは月とスッポンである。イギリスの金融経済フィナンシャル・タイムズ紙が小沢氏引退の誘導ととれる社説を書いたのに対し、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が問題の本質がどこにあるのかを書いた記事を掲載する。なかなか興味深い現象である。フィナンシャル・タイムズ紙の見出し風にニューヨーク・タイムズ紙の見出しを書き換えるなら、「検察の破壊(Prosectutors Destruction)」となるかもしれない。

英フィナンシャル・タイムズ紙の社説とそのことに関する記事はこちら。

注目すべき英フィナンシャル・タイムズ紙の社説(更新)
http://ootw-corner.asablo.jp/blog/2010/01/21/4826243

大本営発表に踊らない2010/01/23

定点カメラというのがある。今や日本のそこらじゅうにある。今回の検察のリーク、マスコミの報道を見ていると、自分が定点カメラになっているような気分になることがある。そんな気分のときは、小沢さんの件とかでマスコミが騒いでいることの構造がけっこう鮮明に見えてくる。火元は東京地検特捜部で、騒ぎを大きくしているのがマスコミ。もっともっと騒ぎを大きくしたいから、自作自演もかなり激しくなっているようだ。例えば世論調査なるもので。質問の仕方でどうにでもなるし、インタビューしてもいくらでも編集できる。自分の周囲の方々はけっこう落ち着いていて、だいたいが俺と同じように定点カメラのような見方をしている。

ずっと昔に読んだ本で誰が書いていたのか忘れたけど、戦前と比較しての戦後の日本国民の変化として、「大本営発表に踊らされなくなった」という意味のことを指摘されている方がいた。戦時中にマスコミが果たした役割とそれに対する国民の反応を反省しての指摘なのだろう。

国民が定点カメラのような気持ちでいれば、もっと騒いで欲しい検察、マスコミは自作自演でさらに騒ぎを大きくするだろう。つまんないテレビ番組より、定点カメラから見える風景の方が、お笑いとしてずっと楽しめる。これもまた、国民の立派な気持ちの持ち方ではないだろうか。まさに戦争を反省した国民の姿として。

歴史的な暗黒の一日となるか、それとも...2010/01/23

ニュースを見ていないが、地検による小沢さんの聴取が行われているらしい。逮捕などありえないと思うが、国会が始まる直前に、選挙で選ばれ、事情聴取に応じていた石川議員を逮捕するほどである。何でもありの状態と考えていいだろう。

国民が選挙で選んだ議員を逮捕するとは、どういうことなのか。元検事の郷原さんが指摘するように、

「このスキャンダルは、日本の民主主義を危機に陥れている。このスキャンダルは官僚システムが、自分に対して挑戦してきた、選挙で選ばれたリーダーから自分を守るために反撃したものなのだ。」

ということだろう。こんなことで逮捕をせずに、むしろ、元々がザル法と呼ばれる政治資金規正法をどうするか、政治献金をどうするかを国会の場で議論した方が建設的であったことは間違いない。検察は、裁量権という権力によって、次の一歩に進む建設的な議論の道を閉ざしてしまっている。

個人に虚偽報道の責任を問うべき(更新)2010/01/23

政府の人間が何人も公正な報道を、と注意を促しているわけだから、それでも虚偽報道をする記者には、そろそろ、その個人に虚偽報道の責任を問うてもいいのではないだろうか。俺も小沢さんの日本テレビのBS中継で「オヤ?」と思ったのだが、岩上さんも気が付いたようだ。自分たちで虚偽報道をして、その虚偽報道を基に質問をするのは、馬鹿げている。

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iwakamiyasumi
読売に注目!、世紀のスクープか、それとも、、、 RT @123koba: @iwakamiyasumi あの質問はよかったです。読売は小沢幹事長の関与を石川議員が認めたと書いたが他の新聞は追随せず」
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記者会見終了後のスタジオでのまとめで「小沢幹事長の関与を石川議員が認めた」との前提で日本テレビ(?)の記者がフリップを用意して、説明をしていた。しかし、これについては、次の報道にあるように石川議員の弁護人が全面的に否定している。それも文書でだ。

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「完全な誤報」石川議員の弁護人が報道各社に文書
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20100120197.html

 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記入事件で逮捕された衆院議員石川知裕容疑者(36)=政治資金規正法違反容疑=の弁護人は20日、石川容疑者が小沢氏の事件への関与を認める供述をしているとの一部報道について、「完全な誤報」とする文書を報道各社にファクスで送付した。

 弁護人は安田好弘、岩井信両弁護士。連名で「石川氏がそのような供述をしたことは全くない」としている。
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この通りだとすれば、日本テレビの記者の発言は公共の電波を使って小沢氏や民主党の信頼性を著しく損なう行為であり、名誉毀損とかに当たるだろう。このような虚偽発言を繰り返す記者やアナウンサー、コメンテータなどには、個人として責任をとらせるべきと思われる。また、半強制的にでも、新聞社にあらゆる記事を署名記事にするよう求めてもいいだろう。そうでもしないと、会社の影に隠れて虚偽報道をする記者、また記者に虚偽報道をさせる会社が後を絶たないのではないか。