病的サドマゾ閉鎖社会(組織)へようこそ... ― 2010/02/08
ずっと前に読んだ本で、日頃職場で虐げられている人は自分よりも弱い立場の人を同様に虐げる、なんてのがあった。よく言われる、子供の頃に親から暴力を受けた人は、自分が親になったとき自分の子供に暴力を振るう傾向がある、というのと似ている。
今回の検察リークの異様さを書いている元司法担当記者の坂上遼さんという方が次のようなことを書いている。「当時」とあるが、他の記者が書いたものを見ても、今でも事情は同じだろう。いや、この間の報道を見る限り、状況はもっと悪化しているかもしれない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
当時の検察担当記者は、平均睡眠時間4時間から6時間、ほぼ年中無休。午前1時半の朝刊締め切り時刻が取材終了の目安という生活を3年も4年も続けていたが、我が身を振り返って「リーク?」してもらった記憶は皆無だ。
・・・・
「リーク」批判について司法記者の多くが反論しないのは、言っても解って貰えないだろうという諦めと、そんなことを今更説明しても仕方がないといった醒めた感覚からだと思う。外部の人、取材したことのない人に、いくら検察取材の過酷さ、それは肉体的だけでなく、取材の難しさ、問答の難解さ、時間の取り方(夜討ち朝駆けのタイミング)、さらに取材対象の気むずかしさなど諸々あるのだが、説明のしようがない。
「特捜検察」幻想の終焉(1)
http://opinion.infoseek.co.jp/article/752
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
俺がこの部分を読んで驚いたのは、自分が経験したいわゆる司法記者の状況に対して坂上さんがまるで疑問を抱いていないように思われる点だ。「平均睡眠時間4時間から6時間、ほぼ年中無休」が当たり前の日常、そして組織社会。どう見ても、正常な思考能力がある状態で記事を書けるとは思えない。言ってみれば条件反射状態。恐ろしいことに、坂上さんは、その記者生活を異常とは思っていない。
これを踏まえて、少し前に週刊朝日の「検察暴走! 子ども”人質“に女性秘書「恫喝」10時間」という上杉氏の署名入り記事を読んで欲しい。この記事で一躍有名になった東京地検検事、民野健治氏のやったことは、坂上さんが書く司法記者の状況と非常によく似ていないだろうか。病的サドマゾ生活が日常的であるため、自分のやっていることが病的、異常であることの自覚さえできなくなっている。恐らく、民野検事は自分が置かれている病的サドマゾの日常を石川さんの女性秘書に当たり前のように繰り返しただけではないのだろうか。恐らく、ほんのちょっとの疑問さえ抱いていなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1月26日(火)の昼ごろ、石川事務所に「タミノ」と名乗る男から電話があった。女性秘書に検察庁に来てほしいという。
女性秘書が「今日も押収品の返却ですか?」と確認すると、タミノは「そうです、あと、ちょっと確認したいことがあるので」と返した。
よく聞き取れなかったので、もう一度確認すると、「返却です」と答えた。
女性秘書は、1月15日の石川逮捕以来2度(22日、25日)検察庁から呼び出しを受け「押収品」の返却に応じている。
今回も同様の案件だと信じた女性秘書は、ランチバッグ一つで検察庁に向かった。
霞が関から議員会館のある永田町からは一駅である。前日と同じように、コートも着ずに薄着で出かけた。ランチバッグの中には千円札と小銭、ティッシュとハンカチ、携帯電話だけである。
検察庁に着くと前回までとは違う部屋に案内される。
するとそこには民野健治という検事が待っており、いきなりこういい始めたのだ。
「被疑者として呼んだ。あなたには黙秘権があるので行使することができる。それから~」
事情を把握できずパニックになった女性秘書が、ほかの秘書か弁護士に連絡したい旨を告げると、民野健治はそれを無視して、逆に、携帯電話の電源を切るように命じ、目の前でスイッチをオフにさせたのだ。
それが昼の1時45分。だまし討ちの「監禁」はこうして始まった。
任意の事情聴取は、文字通り「任意」である。
よって、被疑者であろうが、参考人であろうが、当事者の同意が必要なのは言うまでもない。
仮に、拒否しても、その場を立ち去っても問題はない。
拒否も国民の当然の権利である。
ところが今回「聴取」というだまし討ち監禁は、そうした意向を問うこともなくスタートしている。
民野健治は、女性秘書に小沢と石川が共謀していたことを認めるよう迫り続けた。だが、彼女がそんなことを知る由もない。
女性秘書は石川が小沢の秘書をやっているときは、別の民主党議員事務所に勤めていたのだ。
しかも、当時は与野党に分かれており、自由党の石川秘書についてはその存在すら知らなかった。
そんな彼女が、小沢事務所の会計事務のことを知るすべはない。
その旨を正確に述べると、検事は次のような言葉を並べるのだった。
「いいんだよ、何でもいいから認めればいいんだよ」
「早く帰りたいなら、早く認めて楽になれよ」
「何で自分を守ろうとしないの。石川をかばってどうするの」
こうした言葉をさんざん浴びせられたが、知りようもない事柄を語れるはずもない。
そこで黙っていると民野健治はこう言い放った。
「あんた、何も言わないのは愚の骨頂だよ」
取り調べ室では時刻もわからない。もうずいぶん時間も経過したのだろう。
ふと見るとそれまでブラインドから差し込んでいた外の光が暗くなっている。
3歳と5歳の子供が待っている保育園に迎えに行かなければならない。
夫でも誰でもいいから迎えに行かなければ、幼い子供たちも心配するだろう。
取り調べ可視化 これじゃ無理だ。
女性秘書は検事に対して、繰り返しお迎えの許可だけを懇願する。
一時的でもいい、必ず戻ってくる。せめて電話を入れさせてほしいと哀願し続けたのだ。
そして、母親の子供を思う気持ちが昂ったその時、検事の発した言葉が、先の「何言っちゃってんの?そんなに人生、甘くないでしょ?」という台詞だったのだ。
その言葉を聞いて、母親はパニック状態に陥った。
手が震え出し、自然に涙がこぼれてくる。
ついには呼吸が荒くなり、過呼吸状態に陥った。
飲み物を所望する。
ご希望をどうぞ、と言われたので、「お茶をください」と言った。
すると民野健治は事務官を呼び、庁内にあるローソンに買いに行かせた。事務官が戻ってきてお茶を出すと同時に検事はこういったのだ。
「120円、払ってください」
一方、昼間に出かけた女性秘書の帰りがあまりに遅いため、石川事務所のスタッフたちもさすがに心配になってきた。
ちょうどそのころ、検察庁から一本の電話が入った。
「○○さん(女性秘書の名前)からの伝言です。今日は用事があるので事務所には帰らないとのことです」と、男の声で名前も名乗らず、それだけ言うと一方的に切れたという。
日が暮れて数時間がたつ。
子供の迎えの時刻が迫ってからは「せめて主人に電話をさせてほしい」「ダメだ」というやり取りの繰り返しになる。
あの小沢一郎の事情聴取ですら、準備に準備を重ねて弁護士を連れ、自らのホテルの部屋という条件で行われたのだ。しかも4時間半である。
一方、女性秘書の「監禁」時間はすでにこの時点で5時間を超えている。
だんだん思考能力も低下してきた、と、のちに弁護士にも語っている。
この母親が何百回、同じ「哀願」を繰り返したころだろう。
ようやく検事が「じゃあ、旦那にだけは電話していい」と認めた。
検事の目の前で携帯のスイッチをオンにし、画面に夫の電話番号を表示し、それを見せながら発信ボタンを押した。
子供の迎えだけを頼んだ。
それから次に弁護士への通話をお願いし、しばらくして同じように許可された。
弁護士が検事と「聴取」の中断を交渉し、午後10時45分、事務所を出てから約10時間ぶりに女性秘書は「監禁」から開放されたのだった。
結局、「押収品」は一つも返してもらえなかった。
つまり、東京地検特捜部は、最初からこの若い母親をだまして「監禁」することが目的だったのだ!
出典:検察暴走! 子ども”人質“に女性秘書「恫喝」10時間
週刊朝日2月12日号 上杉隆署名記事部分
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関連: 検察の任意取り調べを報じた上杉さんの歴史的ビデオ
http://ootw-corner.asablo.jp/blog/2010/02/03/4854333
今回の検察リークの異様さを書いている元司法担当記者の坂上遼さんという方が次のようなことを書いている。「当時」とあるが、他の記者が書いたものを見ても、今でも事情は同じだろう。いや、この間の報道を見る限り、状況はもっと悪化しているかもしれない。
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当時の検察担当記者は、平均睡眠時間4時間から6時間、ほぼ年中無休。午前1時半の朝刊締め切り時刻が取材終了の目安という生活を3年も4年も続けていたが、我が身を振り返って「リーク?」してもらった記憶は皆無だ。
・・・・
「リーク」批判について司法記者の多くが反論しないのは、言っても解って貰えないだろうという諦めと、そんなことを今更説明しても仕方がないといった醒めた感覚からだと思う。外部の人、取材したことのない人に、いくら検察取材の過酷さ、それは肉体的だけでなく、取材の難しさ、問答の難解さ、時間の取り方(夜討ち朝駆けのタイミング)、さらに取材対象の気むずかしさなど諸々あるのだが、説明のしようがない。
「特捜検察」幻想の終焉(1)
http://opinion.infoseek.co.jp/article/752
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俺がこの部分を読んで驚いたのは、自分が経験したいわゆる司法記者の状況に対して坂上さんがまるで疑問を抱いていないように思われる点だ。「平均睡眠時間4時間から6時間、ほぼ年中無休」が当たり前の日常、そして組織社会。どう見ても、正常な思考能力がある状態で記事を書けるとは思えない。言ってみれば条件反射状態。恐ろしいことに、坂上さんは、その記者生活を異常とは思っていない。
これを踏まえて、少し前に週刊朝日の「検察暴走! 子ども”人質“に女性秘書「恫喝」10時間」という上杉氏の署名入り記事を読んで欲しい。この記事で一躍有名になった東京地検検事、民野健治氏のやったことは、坂上さんが書く司法記者の状況と非常によく似ていないだろうか。病的サドマゾ生活が日常的であるため、自分のやっていることが病的、異常であることの自覚さえできなくなっている。恐らく、民野検事は自分が置かれている病的サドマゾの日常を石川さんの女性秘書に当たり前のように繰り返しただけではないのだろうか。恐らく、ほんのちょっとの疑問さえ抱いていなかった。
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1月26日(火)の昼ごろ、石川事務所に「タミノ」と名乗る男から電話があった。女性秘書に検察庁に来てほしいという。
女性秘書が「今日も押収品の返却ですか?」と確認すると、タミノは「そうです、あと、ちょっと確認したいことがあるので」と返した。
よく聞き取れなかったので、もう一度確認すると、「返却です」と答えた。
女性秘書は、1月15日の石川逮捕以来2度(22日、25日)検察庁から呼び出しを受け「押収品」の返却に応じている。
今回も同様の案件だと信じた女性秘書は、ランチバッグ一つで検察庁に向かった。
霞が関から議員会館のある永田町からは一駅である。前日と同じように、コートも着ずに薄着で出かけた。ランチバッグの中には千円札と小銭、ティッシュとハンカチ、携帯電話だけである。
検察庁に着くと前回までとは違う部屋に案内される。
するとそこには民野健治という検事が待っており、いきなりこういい始めたのだ。
「被疑者として呼んだ。あなたには黙秘権があるので行使することができる。それから~」
事情を把握できずパニックになった女性秘書が、ほかの秘書か弁護士に連絡したい旨を告げると、民野健治はそれを無視して、逆に、携帯電話の電源を切るように命じ、目の前でスイッチをオフにさせたのだ。
それが昼の1時45分。だまし討ちの「監禁」はこうして始まった。
任意の事情聴取は、文字通り「任意」である。
よって、被疑者であろうが、参考人であろうが、当事者の同意が必要なのは言うまでもない。
仮に、拒否しても、その場を立ち去っても問題はない。
拒否も国民の当然の権利である。
ところが今回「聴取」というだまし討ち監禁は、そうした意向を問うこともなくスタートしている。
民野健治は、女性秘書に小沢と石川が共謀していたことを認めるよう迫り続けた。だが、彼女がそんなことを知る由もない。
女性秘書は石川が小沢の秘書をやっているときは、別の民主党議員事務所に勤めていたのだ。
しかも、当時は与野党に分かれており、自由党の石川秘書についてはその存在すら知らなかった。
そんな彼女が、小沢事務所の会計事務のことを知るすべはない。
その旨を正確に述べると、検事は次のような言葉を並べるのだった。
「いいんだよ、何でもいいから認めればいいんだよ」
「早く帰りたいなら、早く認めて楽になれよ」
「何で自分を守ろうとしないの。石川をかばってどうするの」
こうした言葉をさんざん浴びせられたが、知りようもない事柄を語れるはずもない。
そこで黙っていると民野健治はこう言い放った。
「あんた、何も言わないのは愚の骨頂だよ」
取り調べ室では時刻もわからない。もうずいぶん時間も経過したのだろう。
ふと見るとそれまでブラインドから差し込んでいた外の光が暗くなっている。
3歳と5歳の子供が待っている保育園に迎えに行かなければならない。
夫でも誰でもいいから迎えに行かなければ、幼い子供たちも心配するだろう。
取り調べ可視化 これじゃ無理だ。
女性秘書は検事に対して、繰り返しお迎えの許可だけを懇願する。
一時的でもいい、必ず戻ってくる。せめて電話を入れさせてほしいと哀願し続けたのだ。
そして、母親の子供を思う気持ちが昂ったその時、検事の発した言葉が、先の「何言っちゃってんの?そんなに人生、甘くないでしょ?」という台詞だったのだ。
その言葉を聞いて、母親はパニック状態に陥った。
手が震え出し、自然に涙がこぼれてくる。
ついには呼吸が荒くなり、過呼吸状態に陥った。
飲み物を所望する。
ご希望をどうぞ、と言われたので、「お茶をください」と言った。
すると民野健治は事務官を呼び、庁内にあるローソンに買いに行かせた。事務官が戻ってきてお茶を出すと同時に検事はこういったのだ。
「120円、払ってください」
一方、昼間に出かけた女性秘書の帰りがあまりに遅いため、石川事務所のスタッフたちもさすがに心配になってきた。
ちょうどそのころ、検察庁から一本の電話が入った。
「○○さん(女性秘書の名前)からの伝言です。今日は用事があるので事務所には帰らないとのことです」と、男の声で名前も名乗らず、それだけ言うと一方的に切れたという。
日が暮れて数時間がたつ。
子供の迎えの時刻が迫ってからは「せめて主人に電話をさせてほしい」「ダメだ」というやり取りの繰り返しになる。
あの小沢一郎の事情聴取ですら、準備に準備を重ねて弁護士を連れ、自らのホテルの部屋という条件で行われたのだ。しかも4時間半である。
一方、女性秘書の「監禁」時間はすでにこの時点で5時間を超えている。
だんだん思考能力も低下してきた、と、のちに弁護士にも語っている。
この母親が何百回、同じ「哀願」を繰り返したころだろう。
ようやく検事が「じゃあ、旦那にだけは電話していい」と認めた。
検事の目の前で携帯のスイッチをオンにし、画面に夫の電話番号を表示し、それを見せながら発信ボタンを押した。
子供の迎えだけを頼んだ。
それから次に弁護士への通話をお願いし、しばらくして同じように許可された。
弁護士が検事と「聴取」の中断を交渉し、午後10時45分、事務所を出てから約10時間ぶりに女性秘書は「監禁」から開放されたのだった。
結局、「押収品」は一つも返してもらえなかった。
つまり、東京地検特捜部は、最初からこの若い母親をだまして「監禁」することが目的だったのだ!
出典:検察暴走! 子ども”人質“に女性秘書「恫喝」10時間
週刊朝日2月12日号 上杉隆署名記事部分
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関連: 検察の任意取り調べを報じた上杉さんの歴史的ビデオ
http://ootw-corner.asablo.jp/blog/2010/02/03/4854333
コメント
_ きまぐれ アメリカに絞め殺される日本! ― 2010/02/08 20:49
_ かなりの田舎のアラカン女子 ― 2010/02/09 08:56
あまりに日常的なことを書いてしまいますが、
かなりまえからTV局の街頭インタビュー番組構成で
今の高校生の知識レベルの調査?などしていましたが、まともに答えたコのものは、はずして、”キャー!わかんない!”、”なにそれ?”ってものを面白おかしく電波にのせ、その結果 分かんなくてもおかしきゃいいのね族に、市民権を与えてしまった罪は深くて重い。
その情報操作を軽く、構成・編集というのだろうか。
今回の小沢たたきにもそんな根があるかも。
かなりまえからTV局の街頭インタビュー番組構成で
今の高校生の知識レベルの調査?などしていましたが、まともに答えたコのものは、はずして、”キャー!わかんない!”、”なにそれ?”ってものを面白おかしく電波にのせ、その結果 分かんなくてもおかしきゃいいのね族に、市民権を与えてしまった罪は深くて重い。
その情報操作を軽く、構成・編集というのだろうか。
今回の小沢たたきにもそんな根があるかも。
http://www.asahi.com/business/update/0204/TKY201002030498.html
亀井静香金融・郵政改革相は3日、日本郵政グループのゆうちょ銀行の資金運用について、米国債や社債などに多様化していくべきだとの考え方を示した。郵政見直しではゆうちょの預け入れ限度額の引き上げも検討されており、亀井氏は資金の増加が見込まれるとして、運用先も広げるべきだとの立場だ。
亀井氏は記者団に対し郵政見直しについて「手足を縛られて営業をしているわけだから、現実にあった形にしていく」と発言。昨年12月末で約180兆円のゆうちょ銀行の貯金残高の増加が見込めるとした上で、米国債など日本国債以外の運用が「もう少し増えると思う」と述べた。
ゆうちょ銀行は昨年12月末で約180兆円を有価証券で運用しているが、9割近くは日本国債で米国債はほとんどなく、社債も約12兆円にとどまっている。
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2010年02月07日03:32
ゆうちょ預金で米国債を買うことがなぜ時限爆弾着火か
http://www.tomabechi.jp/archives/50986710.html
ゆうちょ資金で米国債を購入することは、時限爆弾に火が付くと書いたが、これはどういうことか。「洗脳支配」で詳細を解説したが、読んでない人に簡単に説明する。雪山で携帯で一気に書いているので、乱文はご容赦を。
まず、新BIS規則が日本に強要されたことにより、実質利回りが変動する国債は市中金利との逆ザヤリスクがある為、かつての国債の重要引き受け先であった民間銀行での購入は難しくなった。唯一、ゆうちょ銀行のみ、この規制の例外になっている。円発行のための日銀保有を除いて、ゆうちょ銀行が事実上唯一の国債引き受け先になっているのはこのためである。というよりゆうちょ銀行に民営化後も国債を引き続き引き受けさせるために当時の財務省が新BISの対象から外し、郵政民営化法でゆうちょ銀行の資金運用先は「国債、地方債、政府保証債と銀行預金」としたのである。
因みに、現在の郵便貯金180兆円はかつては、資金運用部特別会計と言われていたもので、資金運用部がなくなり、現在の特別会計となって、現行の特別会計総額170兆円の原資のうち150兆円は、郵政民営化法に従ったゆうちょ銀行による国債購入である。
では、亀井大臣発言のように郵政民営化法の考え方を覆して、ゆうちょ銀行に米国債(米国財務省証券)の購入をさせるとどうなるか。もしくは、ゆうちょ銀行を新BIS規制の対象として新BISが言うように「利回りが低いリスク商品」である国債を、ゆうちょが大量保有できなくするとどうなるか?
以下が私が2年前に予見した事態である。「洗脳支配」から、
「郵政民営化と新BIS規制。このふたつの仕掛けによって、ゆうちょ銀行の預金がアメリカの財務省証券、もしくはアメリカの投資銀行が仕掛けた海外金融商品に換わる日はもうすぐそこです。そして、日本という国は、国債の消化ができなくなり、国債相場の暴落の日をひたすら待つだけといえます。これは、金利の上昇と強烈なスタグフレーションを引き起こします。そして何よりも、一般会計と特別会計合わせて実質300兆円という日本の国家予算の原資の3分の2である200兆円がなくなるということです。国家は破産し、民間は大不況となり、国民はハイパーインフレに窮するでしょう。」
まさに、私が当時危惧した通りの事態になりつつある。
ゆうちょによる米国財務省証券の購入は、日本人が郵便貯金することで、アメリカ財務省に税金を払うことになるばかりでなく、日本国債が暴落し、日本が財政破綻する道に間違いなくなるということである。これが私が言った郵政民営化と新BIS規制による時限爆弾であった。ゆうちょ銀行による米国債購入容認発言はまさに時限爆弾のスィッチを押したことになる。
明らかに、米国政府からの強烈なプッシュがあったことが想像されるが、なぜこのタイミングなのか。
現在、米国の機関投資家は中国経済が早ければ今年の7月、遅くとも今年の11月にクラッシュすると見ている。中国は北京オリンピック、上海万博と好景気を演出してきたが、これが夏まで持たないというのが、米国有識者の共通見解である。
中国経済がクラッシュすると、米国財務省証券の3分の2は、現在中国が引き受けているのであり、これが消化されなくなる。となると米国は財政破綻である。これを避けるために、日本のゆうちょ預金180兆円で米財務省証券を購入せよということである。ゆうちょ銀行が保有する日本国債はリスクマネーであるから、新BIS規制に則って、より利回りが高い上、リスクの低い米国債で150兆円を運用せよという経営上「健全な」選択をせよということだ。
早ければ、7月には中国経済のクラッシュが予想されている為、緊急にゆうちょ銀行に米国債の購入を進めさせる必要があるわけだ。特に7月は衆参両院の同時選挙が予想され、政治的空白が予想されるために今のうちに日本政府にこれを確約させる必要があったのだ。
問題なのは、これでアメリカの財政破綻は一時的に避けられるかも知れないが、先に日本が国債が消化できずに財政破綻する。また、かつて、宮澤首相が財務省証券を売りたいと言ったら、「それは宣戦布告とみなす」と言われたように、米財務省証券は一度買ったら売ることが許されない。まさに米財務省に税金を払うのと同じなのだ。
ゆうちょ銀行に国債以外の購入をさせることはこういうとんでもないリスクがあることをよく分かった上で、国会でよくよく審議してから、結論を出すべきである。米国財政破綻は日本経済のためにも避けねばならないが、そのために日本が財政破綻しては本末転倒だ。
特に現在、ドルは90円ぐらいを無理やり演出しているが、夏から冬にかけて中国経済がクラッシュした場合は60円台まで一気に下がるだろう。その場合はアメリカ国債が日本国債よりいくら利回りがいいと言っても、為替差損でゆうちょ資金が三割から四割目減りする。亀井大臣はああ発言したが、現在はドル建て債券を購入するには最悪のタイミングだ。どうしても米財務省証券をゆうちょ資金で購入せねばならない場合は絶対に円建てで購入せねばならない。
ゆうちょ銀行の預金は国債以外は買ってはならない。このメカニズムを日本の国会議員はよくよく理解した上で、国会で徹底的に審議して欲しい。今回の亀井大臣の発言の前に国会でこのことが全く審議されていないのは、大変な、大変な問題である。