武力でしか場所を確保できない米国2009/12/15

欧米が主導してきた世界が変わろうとしている。金融面ではG20とかの話が出ていたけど、これは小手先のこと。もっと具体的なところで地殻変動が次々と起きている。イランの核施設に関する公式会合を中国がキャンセル。

China cancels world power meet on Iran
http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=113727&sectionid=351020104

天然ガスパイプラインで中国がタルクメニスタンと契約。

China's Hu unveils landmark Turkmenistan pipeline
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5h2ySwtf_yx7ojznvMBz0S0wmqFvg

CO2削減も、実質的な中国ボイコット。

オバマはノーベル平和賞受賞演説で一つのことを明確に宣言した。それは、「場所・資源の確保」のために米国は最終的には武力に頼るということだ。これを米国は「対テロ戦争」と呼んでいる。これに対し中国は、武力を使わずれに場所・資源を確保しているようだ。オバマさんとかの能書きより、実質的に何が起きているのかを欧米以外のメディアでも追うことがきわめて重要な展開になってきた。あらゆることが中国に傾いているように見える。

なぜオバマにノーベル平和賞が贈られたか?2009/12/16

ノーベル賞...それは、世界にとっていろいろな意味で一種国力を示す指標のようになっている。ノーベル賞受賞者を輩出する国は素晴らしい国というわけだ。だから、日本でもノーベル賞受賞となれば、大騒ぎとなる。そのノーベル賞の平和賞が今年は米国大統領バラク・オバマに贈られ、現地時間12月1日の受賞演説となった。その演説を聴いてみれば、ブッシュが言った先制攻撃、予防攻撃にもっともらしい理屈を付けただけだった。これまたブッシュと同じく「悪」を持ち出し、違いと言えば、ブッシュは米国一国でも攻撃をすると言ったが、オバマの方は国際社会の協力が必要だと言った。

しかし、大統領選出後のオバマの言動を振り返ると、演説でのオバマの発言は予想されたものだった。イラク撤退と言いながら完全撤退は3年後という長期に渡ってのものだったし、アフガニスタンは「必要な戦争」で実際に3月に第1弾の増派をしたし、今や戦争犯罪として訴追されかねないイスラエルのガザ攻撃についても、そもそもイスラエルから始めた攻撃であるにもかかわらず、自衛権と称してイスラエル支持を打ち出した。

にもかかわらず、ノルウェイのノーベル平和賞委員会は10月にオバマを選出し、授賞式の1週間ほど前にオバマはアフガニスタン増派の第2弾を発表して、今回の受賞演説となった。どのような理屈を付けても自衛・予防戦争を肯定している人物を平和賞に選出したことは明らかだろう。つまり、世界的権威となっているノーベル賞は、オバマの言う自衛・予防戦争にお墨付きを与えたことになる。

では、ノーベル賞の権威の失墜ともなる今回のオバマのノーベル平和賞選出はなぜ行われたか?

その理由は、欧米日主要メディアで大きく報道されることはほとんどないが、この間世界で顕在化してきている大きな地殻変動にあると思える。数百年も前に始まった欧米による植民地収奪、第二次大戦後も生き延びてきた欧米による軍事力・情報支配の時代が終わりを迎えようとしている。この流れを主導しているのは、正しく欧米日により植民地化された、あるいはされかかった中国であり、インドである。オバマのノーベル平和賞選出は、ノーベル賞という世界的権威を使って、この流れに対抗しようとする欧米の姿勢の象徴であり、オバマの受賞演説は戦争をやってもこの流れを阻止するという表明である(植民地全盛時代と同じ、ほとんど兵器らしい兵器もない者たちへの戦争ではあるが)。

かって欧米日による植民地時代を味わった中国やインド、その他の国々は、その時代の苦渋を都合よく忘れてくれているだろうか。そんなことはないだろう。当時と違い中国もインドも、一方的にやられることのないそれなりの国力を備え、また欧米に多くの人間を送り込み、欧米のやり方を知っているし、情報を持っている。このように見ていくと、幸せなことに、俺たちは本当に歴史的な大転換の時代に生きているのを感じる。

よく言われる米国内対立は本当か?2009/12/16

米国でサブプライム問題が顕在化してから、よく言われるのは金融資本と軍需資本(あるいは戦争屋)の対立があるという見立てである。しかし、これは本当なんだろうか?田中宇さんやその他多くの、事情通と思われている人たちから、この見立てが主張されている。

田中宇さんは、2003年イラク攻撃が始まる当初、穏健派(あの当時はパウエル国務長官)と強硬派(チェイニーやラムズフェルドなど)という見立てをしていた。そのうち、田中宇さんだったかは忘れたが、国防長官がラムズフェルドからゲーツになると、ネオコンに対して現実派という見立てが登場し、これはかなりの人が言っているのを目にしたことがある。

どちらのケースも言っていることは、米国内にも気違いみたいな連中とまともな連中がいて、米国の政策はその間を彷徨っているということだ。そして、まともな連中が権力につきさえすれば、米国も健全な国になる可能性があることを示唆している。言うなれば、本来は健全なのだが、時々極端に走る、あるいは狂うこともあるという米国に対する肯定的意見である。さらに言えば、いわゆる民主主義という欧米的制度の暗黙の肯定である。しかし、良くなったはずのオバマがノーベル平和賞受賞演説で主張したことは、ブッシュやチェイニー、ネオコンと同じ先制攻撃、予防攻撃の肯定である。いろんな理屈は付いたが、自由にしても何にしても、根本的にはブッシュが言っていたことと同じということになる。

対立という見立てもいいが、そもそも現在の世界情勢は、内部対立していられるほど欧米に余裕のある状況なんだろうか。少なくとも金融立国を目指した英米の目論見はもろくも破綻した。そして、やたら市場原理主義者に経済学賞を与えていたノーベル賞は、先制攻撃、予防攻撃を肯定するオバマに平和賞を与えるまでに至った。軍需とか金融というより、植民地時代からの優位を維持したい欧米が、CO2削減問題などをはじめとして一体となっている姿が浮かび上がってこないだろうか。まだ死にものぐるいではないにしても。

戦争の語り部たち2009/12/17

インターネットは世界各地の個人を結び付ける。あるのは言語の壁だけだ。仕事で日常的に英語を使っている俺は、小泉がブッシュのイラク攻撃をいち早く支持し、実際に攻撃が始まってから、詳しくネットを調べるようになった。その過程で、My Linksにも載せているがリバーベンドさんのブログ"Bugdhad Burning!"に出会った。彼女の書いていることは、いわゆる主義主張が先行する政治ブログと違い、彼女の日常生活の描写だった。その観点から米軍による占領、イラクの政治が見通される。彼女の生活は、クリスチャンを含めてイスラム教でもさまざまな宗派が共存する社会から一種の一宗派至上主義の社会へと変わっていく。そして国外に脱出し、英語版では07年10月22日が最後のブログとなっている。

バグダッド・バーニング(日本語版)
http://www.geocities.jp/riverbendblog/

トラックバックしていただいた「マスコミに載らない海外記事」を出されているブロガーの方によれば、アフガニスタンにも凄まじい女性が登場しているようだ。その名は「マラライ・ジョヤ(Malalai Joya)」。議会から追放されてはいるが、れっきとしたアフガニスタン共和国の国会議員である。アフガンの状況を考えれば、まさにいつ殺されてもおかしくない人である。

アメリカ占領と、ハミド・カルザイの腐敗したマフィア国家
http://eigokiji.justblog.jp/blog/2009/12/post-c3b7.html

イラクのときと同じく、アフガニスタンでもまた欧米のプロパガンダは炸裂している。「カルザイ政府も問題はあるが、それ以上にタリバン、アルカイーダは問題があり、カルザイ政府を育てていかなければならない。」これがネオコンやオバマ、そして渋々ながらNATO軍を送るヨーロッパの国々が言っていることである。

しかし、これが欧米向けに作られた嘘であることは、例えばケシ栽培のことを考えただけですぐに分かる。米軍侵略以降、アフガニスタンのケシ栽培は飛躍的に増大している。育つのに半年はかかる。そして、それを精製してモルヒネやアヘン、ヘロインにするには、さらに時間と設備がかかり、またそれを販売するにはネットワークが必要である。ケシを栽培している一般のアフガン国民にそんなことができるはずがない。できるとすれば、米軍がまさに支えているカルザイ政府の人間や大部分の国会議員、地元有力者などの、アフガンという貧乏国の大金持ちたちとしか考えようがない。

かって中南米の麻薬王たちと戦っていたと宣伝されていた米国はどこにいったのだろうか。まさか貧乏国アフガニスタンの農民がケシの温室栽培をやっていることはないだろう。米軍はそこらじゅうにあるケシ畑を目にしているはずなのだ。しかし、何もしない。ということは米軍は麻薬で儲けている連中と非常に良好な関係にあると考えていいということだろう。

サウジをはじめとする中東の独裁国家を見ても分かるが、米国というのは要するに独裁者や暴力団としかうまくやっていけないお国柄のようだ。そうなると、パキスタンのイスラマバードに計画されているバグダッドに並ぶ巨大大使館の建設というのは、うまくいきそうもないので、とりあえず暴力で荒らし、それから独裁者を立てるか、アフガニスタンのように暴力団が群雄割拠する国にしようということだろうか。他に自分たちが居座る方法はないのだから。

どことなく議論が滑稽に思える今日この頃2009/12/17

一応、日本で生活しているからiPodとか携帯とか液晶テレビとかいろんな便利グッズのニュースは入るし、自分も持っているけど、世界中を見渡せば、それなんだ?という人の方が多いんじゃなかろうか。アフガニスタンやイラクのの国外・国内移住組を見れば、かなりの人がテント生活、穴蔵生活である。となると、米国の住宅バブルは金融バブルだったけど、それ以上に米国をはじめとして、欧米とそれに準ずる国は実体経済そのものがバブルなんじゃないかという気になる。つまり、iPodとか携帯なんかなくても、別にどうってことない生活をしている人が世界にいくらでもいるわけで、一応実体経済の中に入っているけど、これ自体がバブルなんじゃないかと思えてくるわけだ。

テレビとかでは、中国はえらい経済的に威勢がいいように報道されているようだが、農村地帯とかにいけば日本円で月収数万という人がいくらでもいて、とはいえ彼らは生きている。むしろ、最近の阿修羅などの意見を見ると、日本なんてテレビなんて見ない方がいいなんて人が増えているようで(実際俺自身見なくなっているし)、考えようによっては、こうしたあってもなくてもいいようなものをGDPに計上して国力を判断する方が間違っていて、実体経済のバブルなんじゃないかとも思える。

要するに、欧米資本主義は実質的にはあってもなくてもどうでもいい実体経済バブルを作り上げてきて、それがマスコミなどを通じてあたかも人間のいわゆる現代生活になくてはならないように宣伝してきたけど、実際にはそんなものなくても、どうってことないということが明らかになりつつあるんじゃなかろうか...

纏まりに欠けるけど、なんかそういう世界に入ってきているような。それを問題にしなければ、CO2による地球温暖化とか、そんなもんいくら議論しても始まらないんでなかろうか。