オバマのノーベル平和賞受賞演説 - オバマが入れる「誤り」2009/12/13

オバマがノルウェイで現地時間10日に行った平和賞受賞演説。いろんな意味で興味深いものであったことは間違いない。日本語でも全文が出ているし、日本を問わず多くのコメントが出ている。。

オバマ大統領のノーベル平和賞受賞演説全文(1/7ページ)
http://www.asahi.com/international/update/1211/TKY200912110021.html

非常に聡明で演説の巧みなオバマが、アフガニスタンでの戦争拡大を世界に向けてどのように正当化しようとするのか、なかなか面白いではないか。オバマというよりは、米国民代表としてのオバマの理屈をどこまで論破できるか、自分の頭で確かめるのもお勉強である。

参考までに、オバマの演説の中には、必ずといっていいほど、重大すぎて見逃せない「誤り」が入る。なぜ重大かというと、オバマの理屈が成立するための前提条件となることだからである。この誤りは、ウェスト・ポイントのアフガン増派演説でも見られた。

受賞演説での誤り: ...who attacked my country from Afghanistan.
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/remarks-president-acceptance-nobel-peace-prize
ウェストポイント演説での誤り: ...the American people were viciously attacked from Afghanistan,
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/remarks-president-address-nation-way-forward-afghanistan-and-pakistan

公式説明でも911はアフガニスタンから成されたものではない。そもそも首謀者とされるビン・ラディンは、オサマが大統領をつとめる米国CIAと関係の深かったサウジの人間で、アフガニスタンではタリバンの客人として滞在していたにすぎない。米国に攻撃を仕掛けたこと、そしてその脅威から国民を守るために戦争をしているというのなら、オバマはアフガニスタンではなく、サウジアラビアで戦争をしていなければならない。

意図的かどうかは分からないが、非常に重大な点でオバマは演説の中に「誤り」を入れる。誰かが指摘していたが、恐らく米国の主要メディアは、この「誤り」に沿って報道をしているのだろう。オバマもまたその報道に沿って演説、発言している。イラクのフセインの時と同じ、911を利用した刷り込みであり、恐怖を使って米国民の思考を奪う、なかなか賢い方法である。増派への米国民の支持が半数を超えたのも理解できる。

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ムジャヒディーン

ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻(1978年-1989年)時、サウジアラビアは、アフガニスタンのムスリムの抵抗を積極的に支援することに決め、王室に近かったラーディン一家に支援を要請した。ウサーマは、アウドゥッラー・アッザームの誘いで、アフガニスタンでソビエト軍と戦うことを決意、パキスタンに向う。
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反米
ムジャーヒディーンはアフガニスタンではアメリカ合衆国のCIA・パキスタンのISIを後ろ盾に援助を受けていたが、ソビエトの敗退後、ビン=ラーディンは反米活動に転じる。ユーゴスラビア紛争に積極的に関与し、バルカン半島のイスラム勢力を支援した。

ウサーマ・ビン=ラーディン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%BB%E3%83%93%E3%83%B3%EF%BC%9D%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3
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関連:
一ジャーナリストが見た中国と米国の検閲社会
http://ootw-corner.asablo.jp/blog/2009/11/18/4703385

二人の米国民が見たオバマの戦争 32009/12/14

リベラルのトム・エンゲルハルトさんの見立てを続けよう。

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拡大している戦争はどのぐらい拡大しているのか

拡散するタリバン反政府勢力の件で、オバマ大統領はサージの目標として次のように語っている。「米国はタリバンの勢いを覆し、政府を倒す能力を与えてはならない。」これは、そこに達する手段は穏当ではないとしても、十分に穏当な目標に見える。詰まるところ、アフガニスタンの人口のわずか42%ほどの少数派パシュトゥーン人の反政府勢力のことであり、彼らは比較的軽武装でみすぼらしい集団だ。にもかかわず、米国は、こうしたタリバンとごく少数のアルカイーダ活動家(米軍調査ではアフガニスタンにいるのはわずか100人)に対抗するために、地球上のほぼ他のどの国よりも貧しい国で、伸びきって脆い補給ラインに沿って信じられないほどカネがかかる驚くべき米軍増強に乗り出した。国務省もまた、パキスタンに越境したCIAを思いっきり見倣った。

こうしたことが1年近くの間進行していて、さらに少なくとも次の半年続こうとしている。これこそ、先週のウェストポイント演説や、日曜のトークショー、議会の証言で大統領や高官が国民に話さなかった現実であり、自分たちの将来を考える上で国民が考える現実である。結局、アフガン戦争のカネは我々国民が支払うことになる。

Tomgram: State of Surge, Afghanistan
http://tomdispatch.com/post/175176/tomgram%3A__state_of_surge%2C_afghanistan/

President Obama's Secret: Only 100 al Qaeda Now in Afghanistan
http://www.abcnews.go.com/Blotter/president-obamas-secret-100-al-qaeda-now-afghanistan/story?id=9227861
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これまでもパキスタンへの越境爆撃、攻撃が行われているし、アフガニスタンとパキスタンの国境なんてないも等しいから、トム・エンゲルハルトさんも予測しているように、越境攻撃はこれからも続くだろう。そしてその結果として、米軍は今度は、今でも反米感情の強いパキスタン国民と戦うことになる。

恐らく世界中の誰もが不思議に思っていることだろう。自国民の経済的困窮の中、これほどのカネをかけて米軍を増強する目的は何なのか?.....まさか、ノーベル平和賞受賞演説での「悪」と戦うために戦争をしているなんてオバマさんの発言を真に受ける人はいないだろう。足下を見られてもなおかつ続ける米国の自国の軍事力に対する過信と、オバマさんさえ口にする、今や天然記念物とも言っていい「善と悪」、「全世界の理想は自分たちの国、国民」という多くの米国民に根付く超単細胞世界観、...

盲米ポチ右翼と左翼という似たもの同士2009/12/14

仕事でも遊びでも数多くの日本人が韓国や中国に訪れ交流を深めていく中で、右翼と称する盲米連中が相も変わらず朝鮮学校に対して嫌がらせを行い、他方では左翼と思われる頭の堅い連中が未だに戦争責任あったらこったらを言っている。どちらも時代遅れの、そして恐らくは海外生活も送ったこともなく外界をしらないだろうウンザリする連中だけど、まあいるものは仕方がない。盲米連中は、そのうち金づるがいなくなって、消えるだろう。反朝鮮、反中国を騒ぎ立てるだけで美味しい思いができる時代は終わるだろうから。

俺が厄介だと思うのは、自分たちは正しいことを言っていると信じ切っているらしい、いわゆる左翼の先生方だ。この偉そうな先生方は、思想信条の自由とか、歴史を直視せよとか言う一方で、必ずといっていいほど戦前の出来事を「戦争責任」に結び付ける。これ変だろう。なぜなら、戦前戦中のある出来事に対してどのような「思い」を抱くのか、「責任」を感じるのかは、個人の思想信条、個人の内面の問題で、他人がとやかく言うことではないからだ。まして、自分がやったわけでもなければ、なおさらであり、「ふざけるな」ということになる。

しかし、偉そうな先生方は、どいういうわけか国民に向かって「戦争責任」とかを持ち出す。不思議で仕方がない。それほど自分たちが「日本の責任」を感じているなら、これからどのように中国や韓国と関係を結んでいけばいいのか、自分たちで新しい視点を提供したり、行動したりすればいいではないか。しかし、そんなものはない。ただ単に「日本の戦争責任」と言うだけで終わり。

なぜ、そうなるか?

考えつく結論は一つだけ。戦後、米国がやったように、またやっているように道徳的に劣る民族とかという劣等感を日本人に刷り込み押さえつけたいから、そうとしか考えようがない。米国の意図は分かるが、一体全体、日本の先生方は一般国民とは違う立場に身を置いて何を目指しているのだろうか?(一般国民とは違う立場に身を置いて別の何かを目指していると考えなければ、将来に向けて何を提案するでもなく、自分の親や親類がやってきたことを単に「責任」あったらこったらとボロクソに言い続けることはできないだろう。)

戦中に起きたことを見れば、ごく最近のイラクやアフガニスタン、パレスチナを見ても、どこもかしこも同じだ。新兵器の練習をして、虫けらのように殺している。自分のところのゆるーい交戦規定で人殺しをして、あれは規定違反ではないとのたまわる。追い詰められれば、交戦規定もへったくれもなくなる。他人の土地にずっと居座りたければ、最近のアフガニスタンのように人類学者、社会学者を動員して、アメとムチの両方の政策をとる。ほとんど日本がやったことと同じであり、日本にだけ限定して言ったって何も始まらないのだ。

オバマさんが綺麗事を言っても...2009/12/14

ノーベル平和賞受賞で「正しい戦争」とかオバマさんが綺麗事を並べてたけど、いろんなところからボロが出てくる。その名も悪名高いブラックウォーターという傭兵会社。イラクでは無差別銃撃で一般の人たちを殺した(あまりにも悪名が知れ渡ったせいか、現在はXe Servicesという社名になっている)。

CIA admits Blackwater presence in Pakistan
(CIA、パキスタンでのブラックウォーターの存在を認める)
http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=113512&sectionid=351020401

まあ、治安業務とかしかやっていないというけど、以前はアフガニスタンやパキスタンには居ないと言っていたし。

Although the spokesman denied that Blackwater was currently involved in CIA operations in Pakistan and Afghanistan, his comments, contradicted past US assertions that the company does not operate in Pakistan.

少し前に紹介したトム・エンゲルハルトさんによれば、ブラックウォーターの傭兵は米軍暗殺部隊の一員である。

「パキスタンのカラチにある秘密基地に米軍秘密作戦部隊と戦争請負業者Xe Services(前ブラックウォーター)の暗殺部隊があり、タリバンとアルカイーダの暗殺に従事している。」

Tomgram: State of Surge, Afghanistan
http://tomdispatch.com/post/175176/tomgram%3A__state_of_surge%2C_afghanistan/

二人の米国民が見たオバマの戦争 2
http://ootw-corner.asablo.jp/blog/2009/12/12/4754042
二人の米国民が見たオバマの戦争 3
http://ootw-corner.asablo.jp/blog/2009/12/14/4756569

盲米ポチ右翼と左翼という似たもの同士 22009/12/15

まあ政権交代してから、日中雪解け時代みたいなもんで、日本賞賛のニュースは断たないし、中国政府の宣伝もあるだろうけど、とりあえず、中国での「日本人を見直したぁ」なんて記事を紹介しておこう。反朝鮮、反中国の親米ポチ右翼、その逆のいつまで経っても戦争責任の左翼の先生方、世界は変わってるんだってば。(まあ、こういったことと参政権の問題はきっちりと分けて考えなくちゃいけないど、いずれにしても時代遅れの、ポチ右翼のチンピラ、左翼大先生どもの脳天気どもがもっとバカにされる日がくるのはいいことじゃなかろうか。)

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【中国ブログ】「これが本当の日本人か!」人民の信頼得た日本人

多くの人々が犠牲になった四川大地震から1年が経過した。このブログは被災地域でボランティア活動を展開し、被災地域の人民や政府の信頼を勝ち取った日本人男性を讃えるものである。以下はそのブログより。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0513&f=national_0513_015.shtml
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こういう雪解けによって、俺たちは互いに反目し合うことなく、それぞれに誇張、プロパガンダのない歴史的事実に向かっていく姿勢が生まれていく。そうすれば、親米ポチ右翼とか、何でもかんでも戦争責任に結び付ける左翼先生方、それでメシを食ってる連中のプロパガンダから俺たちは解放されていく。何と長い道のりだったのだろう。しかし、歓迎すべきことであることは間違いないと思える。