*米国は内戦に向かうのか?2009/07/18

日本のマスコミ報道もあってか、米国史上最悪と言われたブッシュさんからオバマさんに大統領が変わって米国を見直す空気は強いようだ。しかし、報道されているのは、米国ばかりでなく世界を意識したリップサービスばかりで、実際にやっていることを見ると、ブッシュ政権時代と変わりはなく、ほとんどのことについて先送り、経済悪化が深化している分、さらに悪くなっている分野もある。中でも最悪は金融機関救済だろう。つい最近のゴールドマン・サックスの最高益更新報告に至るまでの流れは次のようになっている。忘れてならないのは、救済とかの決定にはすべてゴールドマンの卒業生が関わっていること。

1. 昨年9月、投資銀行から商業銀行(銀行持ち株会社化)に転換。事業面やFRBからの融資の面で資金供給を受けやすくなるため。
2. 昨年10月、緊急経済安定化法により公的資金注入(9,000億円)
3.2月、公的資金返済
4. AIGへの公的資金注入を通じてCDS保険金
「大量のAIG救済資金、欧米金融機関へ横流し」
http://kabu.sakiyomi.com/aifence/?EACH=160(横流し先に日本の金融機関が一行も含まれていないことはなかなか興味深い)

で、数日前の「ゴールドマン・サックス純利益34億ドル 4~6月期」発表となる。

この間、米国内の経済の方は、失業率は上昇一方、賃金は低下一方、不動産の差し押さえは増加一方、その他銀行の破綻は増加一方という状況になっている。つまり、ゴールドマンの好業績発表の向こうで、実体経済は悪化の一途を辿っているわけだ。米国産業の海外アウトソーシングは製造業だけではない、サービス業も海外にアウトソーシングされている。いったん海外にアウトソーシングされた仕事は、コストがそれと同じか、下回らない限り、米国内に戻ることはない。

クルーグマンさんも指摘しているが、問題はここから始まる。ゴールドマンは基本的に税金で増益を果たしたといっていい状況である。業績が好転した後、彼らは信用が失われていることを忘れて、再び世界に向けて最大の利益を求めるための行動に移ると考えられる。オバマさんはグリーン・ニューディールとかで産業再生を謳っているが、賃金格差とかで海外アウトソーシングをずっとやり続けている米国では、すでに米国製造業は死んでおり、自国で産業を再生するメリットはないだろう。やっても、カネがかかるだけだ。当然、カネをいじるだけが商売のゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーもそんなものに投資することはない。となると、米国ハゲタカ政府が支援する、これらのハゲタカ会社はどこで、何でさらなる金儲けを続けようと考えるだろうか。

日本にとっても、重大な局面を迎えていると思われる...(続く)

コメント

_ そのまんま餓死 ― 2009/07/18 21:28

いつも拝見させていただいています。

今日の阿修羅に投稿の一文へのコメントを
させていただきます。

自殺者が約3万人、平成になってから21年目です。
単純計算ですが3万人×20年間=60万人の方々が
命を絶っています。

60万人は鳥取県の県人口と同じです。
日本国は、平成になってからだけで一県の
人口が消滅した異常な国になっています。

未遂者は10倍(600万人)ではきかないでしょうよ。
これが今の日本です。身震いしますね。

クーデターが起きてもおかしくないですよ。
国民は心底怒りに怒っていますよ。

_ masa ― 2009/07/19 07:53

ご訪問有り難うございます、「そのまんま」さん。

> 日本国は、平成になってからだけで一県の人口が消滅した異常な国になっています。

ほんとですね。本当に異常としかいいようがない。ご承知かと思いますが、ずっとイラクとアメリカの方にばかり目が行っていて、自分の国がここまできていたかというのが正直な感想です。ただ、いくつかの国のニュースを追っていて気がつくのは、日本には、貧困化に対する怒りととともに、日本の社会、コミュニティを破壊したことに対する怒りもあるのが、救いです。これは、日本とアメリカの社会の成り立ちとかの違いにあるのではないかと思っています。イラクの方はやはり歴史の長い社会ですから、内紛はあるにしても、どこもおいそれとはアメリカを受け入れることはなく、徹底抗戦のようで、羨ましい限りです。

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