*傑作!「かんぽの宿騒動の真相を語る」2009/07/03

興味のある方はすでにお読みだろうが、テレビにもよく登場するらしい須田慎一郎、高野孟両氏による表題の対談はなかなか傑作だ。

須田慎一郎×高野孟:かんぽの宿騒動の真相を語る
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/06/post_305.html

両者が言う日本国内の新旧利権の構図などというのは、全体像のほんの小さな事にすぎない。日本郵政の民営化について最大の働きをした竹中平蔵氏が、2008年4月の時点でこう言っているのだから。

竹中平蔵「民営化した郵政はアメリカに出資せよ!」
http://www.youtube.com/watch?v=Wz6-Q3P9pBE

ホント、このビデオは、米国金融資本が泥沼にはまりこんでいく時期を考えると、竹中氏のいい加減さ、売国奴ぶりを物語る生々しい記録だろう。

繰り返すが、こんなビデオを見てもなお、須田慎一郎、高野孟両氏が日本国内の新旧利権などと物知り顔に対談しているのは、完全な焦点外しであり、滑稽としか言いようがない。

それと、須田慎一郎、高野孟両氏は国家、税金(郵政のカネを税金と考えるのは抵抗があるだろうけど、利権を得た人間が自由に使えるカネという意味では同じである)というものを理解しているのだろうか。国家そのものが税金を強制的に徴収する以上、国家の維持運営に携わる者たちは根源部分で利権集団だ。その根源部分の最も近くにいる官僚が利権を維持しようとすることは当たり前のことなのだ。また、一般国民の誰もが他人の税金を自分が払った税金より多く使えるかどうかが問題である以上、いつでも利権集団に早変わりする。こういう認識を前提にしていないから、須田氏が言っているような、こんなアホな結論が出てくる。

「今回の騒動は実際には利権の分捕り合戦の政争で、誰が正義で、誰が悪だということではないんですよ。国民から見れば、両方とも悪です。」

分捕り合戦をすることは悪でも何でもない。違法に、あるいはルールに則ったやり方をしないで分捕ろうとしているから問題なのだ。小泉純一郎元首相、竹中平蔵氏、西川善文氏をはじめとする人たちがそういう方法をとっているから問題なのだ。元々あるカネが有限である以上、そして同じ日本国民でも職種とかによって利害関係が異なる以上、分捕り合戦は当たり前のことであり、何ら問題ではない。

追記:須田慎一郎、高野孟両氏の対談はくだらないが、コメントの方でかなり本質的な議論が展開されていて面白いのではないだろうか。「英二」と「hikaru」いうハンドル名の方のやりとりはなかなか面白いと思った。

傑作!「かんぽの宿騒動の真相を語る」(補足)2009/07/03

断っておくけど、別に分捕り合戦がいいと言っているわけではない。人間を見てると、また自分を振り返ると、人間ってそんなもんでしょうと思うだけだ。日本の社会全体とか日本国民の最大多数の最大幸福を前提に行動してくれる人がいればいいだろう。しかし、そんな人に出会うのはラッキーとしかいいようがない。もし全体を考えてくれる政治家、官僚を望むなら、利権にあずかる機会も望み薄であろう一般国民一人一人が情報をちゃんと把握、見極め、政治家、官僚、マスコミを監視し、必要な対策をとるしかない。

AIG救済の裏側2009/07/04

リーマンは救済せずに、なぜAIGは救済したのか。AIG救済が決定されたときよく話題になったことだ。AIGは保険会社だからというもっともらしい説明があったが、ローリングストーン誌に寄稿しているBatt Taibbi氏によればまるで違う真相になる。AIGが保険会社という認識自体が誤っている。Democracy Now!でのインタビューで彼が語ったことをまとめると次のようになる。

・ AIGが保険会社でなくなった最大の動きは、Glass-Steagall Act法を没にした1999年のGramm-Leach-Bliley法による規制緩和。この法律のおかげで、CitiやBank of America、AIGなどの巨大企業が成立し、基本的には保険会社であったAIGが非常に複雑なヘッジファンド、投資銀行、その他さまざまなものを手がける巨大企業になった。
・ 新法の下では、AIG自体が金融監督機関(OTS)を選べるようになった。AIGが選んだ金融監督機関は監督機関として最小で、実際のところ、保険の専門家は一人しかいなかった。それがある種制御不能な状態になった理由である。
・ AIG上層部へのボーナスがニュースを賑わせたが、そもそもその頃はAIGの株式は80%国が保有しており、基本的にはやりたいこと、つまりボーナスを返還させることなどはすぐにできた。
・ ゴールドマンサックスなどの投資銀行は住宅市場に莫大な金額の投資をしていて、それが債務不履行になるのを恐れた。AIGは一種の保険としてクレジットデフォルトスワップ(CDS)という保険証券を発行し、ゴールドマンはCDS保険を掛けた。住宅ローンなどが債務不履行になった場合、ゴールドマンはAIGから保険金の支払いを受けることができる。
・ CDSには法的規制はない。これは、2000年のCommodity Futures Modernization Act(商品先物現代化法)に基づく。この法のおかげで、CDS商品はいっさいの法的規制を受けず、極端な話し、元手が1円もなくても、いくらでもCDS保険を販売できるようになった。
・ ゴールドマンがCDS保険でAIGから受けた保証額は約2兆円。つまり、AIGはゴールドマンに2兆円の借りがあったから、AIGを救済することはゴールドマンを救済することだった。
・ AIG救済を仕組んだのは誰か?前財務長官、ハンク・ポールソンで、ゴールドマンの元CEO。救済以後AIGのCEOに就任したのは誰か?これまたゴールドマンの元社員のエド・リディー。で、現財務長官ティモシー・ガイトナーの主任補佐官はマーク・パターソンは、これまたゴールドマンの元幹部。つまり、AIG救済を仕組んだ人たちはゴールドマンの卒業者で溢れている。
・ 全体として、AIG救済は国家が助成するヘッジファンドによるボロ儲け状況。つまり、政府がウォールストリートによって乗っ取られた状況である。

ソース:AIG and the Big Takeover: Matt Taibbi on “How Wall Street Insiders Are Using the Bailout to Stage a Revolution”(AIGと巨大乗っ取り:マット・タイビ「ウォーストリートのインサイダーはいかにして救済を利用して革命を成し遂げているか)
http://www.democracynow.org/2009/3/25/aig_and_the_big_takeover_matt
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これまで動きを追ってきたかぎり、タイビさんの分析は正しいと考えられる。何ともコメントのしようがない。一般に考える保険と違い、法的規制がなく、元手ゼロから始められるCDS保険という元々AIGが法的規制なしにやっていた保険販売に対して、政府が救済するという訳の分からない状況になった。AIGのやっていたことは詐欺だ。払えるカネもないのに、CDS保険を販売し、保険料をもらって、その間幹部は高給をもらっていた。そして、その詐欺は、米議会の圧倒的賛成で新しく成立した法律によって支えられていた。ゴールドマンは自己責任のはずなのだが、どういうわけか税金によって救済された。

最近の日本で言えば、少し前に詐欺事件として騒がれた円天を政府が救済すると言いだしたら、日本国民はどういう反応をするだろうか。

深く潜行する巨大大使館建設計画2009/07/04

バチカン並みの広さとして大きく取り上げられたイラクの米大使館。それと同じものがパキスタンのイスラマバードに計画されている。オバマ政権はそのための予算を要求している。大使館と言っても、イラクにあるのは頑強な壁によって外部世界と厳重隔離された要塞である。それと同じものがパキスタンに計画されている。アフガニスタンにも外部世界と厳重隔離された領事館が計画されている。これが何を意味するのか。すでに破産と言われるほどの赤字でありながら、テロリストとの戦いと称して戦費に税金を使い続けるオバマ政権。核兵器廃絶など、一般受けする発言は世界中に大々的に配信されるが、こうした報道は米国内でさえほとんど表に出てこない。

Iraq redux? Obama seeks funds for Pakistan super-embassy
(帰ってきたイラク?オバマはパキスタンでのスーパー大使館のための資金を要求する)
http://www.mcclatchydc.com/251/story/68952.html

これって国内人口削減策じゃなかろうか?2009/07/05

取り急ぎアップするけど、カリフォルニア州シュワルツネッガー知事が州の財政破綻を回避するとして提出した州予算案。その中身を抜粋したものらしんだけど、これって野放図に移民を受け入れてきた米国の人口削減対策じゃないかな。やたら医療関係が多くて、現実にどのような人たちが対象になるか、ハッキリ見えるよね(取り急ぎ英文のまま失礼。時間があったら日本語にする予定)。

・Community health clinics will be forced to cut back service or shut down. Dr. Gilbert Simon, the owner of the largest privately run health clinic in the region, Sacramento Family Medical Clinics, told the San Francisco Chronicle that he may have to go out of business, due to cuts in Medi-Cal;
・County governments, which are slated for major cuts, will be forced to reduce foster-care facilities, to fire guards at county jails, and to shut down urgently needed road repairs and other necessary infrastructure projects, including services at county hospitals and health clinics.
・On July 1, Medi-Cal will end all payments for adult dental care.
・1.3 million Californians with disabilities, who receive Federal Supplemental Security Income, which is augmented by a state supplementary program, will see further reductions in the state portion of supplemental payments. This will save the state $402 million.
・The In-Home Support Services Program, which provides caregiver service to 446,000 disabled Californians, will see a cut in wages to caregivers, which will drastically reduce care. At the same time, there will be changes which will make it more difficult to qualify for coverage. Marta Russell, a freelance journalist, who has had cerebral palsy since birth, told the Los Angeles Times, "I expect suicides, premature deaths, a horrible disruption of the social fabric.... We're headed toward market-based Social Darwinism where only the fittest will survive." Reducing caregivers' pay will save $124 million, while disqualifying a large percentage of those receiving In-Home Support Services will save $385 million.
・Schwarzenegger wants to eliminate the state's welfare-to-work program, which provides benefits to 1.3 million people, to save $1.4 billion. This has been a highly-successful program of job training, especially helpful to single-parent families.
・The governor wants to eliminate the state's Healthy Families program, which gives over 900,000 children medical insurance. This would save $369 million.
・Arnie's latest proposal is to save $1 billion by stopping the state's payment to workers' health benefits, and to cut another $890 million from the state's share of funding to child welfare services and foster care.

一部触れているのがコチラ。

シュワルツェネッガー知事、州予算成立を要請
http://www.afpbb.com/article/politics/2610944/4261129

で、これは財政再建と称するオバマの医療対策と連動していて、先にカリフォルニアにやらせようとしているんじゃないだろうか(これはあんまりいいレポートとは思えないけど)。

オバマ改革、いよいよ本丸医療へ 医療制度改革と財政再建は両立できるのか?
http://gensizin2.seesaa.net/article/122285502.html